作品構造とモチーフ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/18 15:07 UTC 版)
「クォンタム・ファミリーズ」の記事における「作品構造とモチーフ」の解説
作品は二部構成になっており、第一部では2008年に存在の基盤を置く往人を語り手とする「父」の章と、2035年にいる風子を語り手とする「娘」の章が交互に展開し、二人の物語が交叉して以降の第二部は三人称となり、さらにその本編の前後を「物語外1」「物語外2」という章で挟み込む形になっている。風子のいる2035年の世界は量子回路の発明によってコンピュータが飛躍的に進歩した反面、平行世界からの干渉を受けるようになった世界であり、こうした理論的背景をもとに物語が展開していく(平行世界の存在を示す際の道具としてウィキペディアも用いられている)。また作中では平行世界を扱っていた作家として村上春樹、特にその『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』が繰り返し言及されており、春樹について作中で提示される「35歳問題」(人生の半ばを過ぎて「できたかもしれなかった」「できなかった」という仮定法過去の総和が直説法過去・直説法未来の総和を上回る、という問題)が平行世界を語るモチーフの一つとなっている。二つの章が交互に展開する構成も村上の同作品にならっていると考えられるもので、文体面にも村上春樹との類似が見られる。 主人公の家族構成は著者自身のそれをなぞって設定されているが、主要登場人物の名前「往人」「風子」「理樹」「渚」などはKey制作の美少女ゲーム『AIR』『CLANNAD』『リトルバスターズ!』の各登場人物から取られている。主人公の妻「大島友梨花」の名は漫画家の「大島弓子」と同人ゲーム『ひぐらしのなく頃に』の登場人物「古手梨花」(およびSFアニメ『機動戦艦ナデシコ』のヒロインの名「ミスマル・ユリカ」)を組み合わせたものである。
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