低容量ピルの承認
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 18:58 UTC 版)
詳細は「経口避妊薬」を参照 1999年(平成11年)6月、女性自身が妊娠をコントロールする低用量ピルが申請から9年の歳月を経て承認された。1965年以来、185以上の国連加盟国各国はピルを承認し、世界中で2000万人の女性が服用する中、日本はピルを承認する最後の先進国であり、国連加盟国185か国で当時唯一の未承認国であった。 1999年(平成11年)2月、衆議院予算特別委員会での国会審議において、末松義規議員より、バイアグラのスピード承認に対してピル承認が9年以上も審議にかかることについて、中央薬事審議会が社会的な価値観を持ち込んでいる疑問が呈され、同議員は「どうも何か大きな思惑があったのじゃないかと思わざるを得ない」と意見している。 臨床試験はバイアグラはしなかったことを引き合いにピル承認について尋ねると、担当部局に伝えるとだけ回答されている。 HIV感染拡大の懸念から薬事審議会が一時審議を凍結し、感染症問題を管轄する公衆衛生審議会に意見を求めるなど調整が難航し、承認時にもなお感染症対策をもっと詰めて承認を決めるべきだったとの意見(東京医科歯科大学大島博幸教授)があった。 低用量ピルが長期審議から一転解禁となった背景には、男性用性的不能治療薬「バイアグラ」を個人輸入で大量に出回り死亡例が発生したことから安全に処方されるためとの理由で、申請からわずか半年で承認された。これにより男性本位との批判が起こったことが関係しているとの見解もある。 厚労省はピル解禁について、世の中の理解が進みピルを温かく見守る環境ができた(平井俊樹審査管理課長)との講和を発表した。しかしピルが承認されない一方でバイアグラが超特急で承認されたことに対し、『ニューヨークタイムズ』紙では世界的に安全性が確立された低用量ピルが認可されていないのみならず副作用ゆえに米国では88年以降販売されなくなった「危険な」高用量ピルのみが認可され,販売され続けていることも紹介し日本の薬事行政の奇妙さを紹介した。 懸念された性感染症については、ピルが承認の1999年のHIV感染者は日本人男性379人(うち同性接触195人)、女性が45人であり、2019年では同男性741人(うち同性接触575人)、同女性29人となっている。
※この「低容量ピルの承認」の解説は、「性教育」の解説の一部です。
「低容量ピルの承認」を含む「性教育」の記事については、「性教育」の概要を参照ください。
- 低容量ピルの承認のページへのリンク