伝承・宗教
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 09:24 UTC 版)
多摩川にまつわる民間伝承や宗教的な言説は少なくない。代表的なものとしては、日蓮宗系の宗教集団内において数多く描かれた日蓮の入滅図がある。日蓮は1282年9月に瀬谷で多摩川を渡り、現在の池上本門寺の場所にあった信徒の邸宅に入って翌月にそこで没している。その後、釈迦入滅図に見立てた日蓮入滅図が数多く描かれ、それらに多摩川が描かれることとなった。 また多摩川流域には、多摩川から引き上げられたとされる本尊や神体を祀った神社や仏閣が10以上も存在する。最も上流にあるのは東京都福生市の関上明神社で、次いで東京都調布市の深大寺、川崎市多摩区登戸の善立寺や長念寺、東京都世田谷区上野毛の六所神社、同瀬田の行善寺、大田区西六郷の安養寺、同東六郷の観乗寺などとなっている。こうした漂着神以外にも、東京都府中市にある大國魂神社の三の宮の御輿は、かつては是政で多摩川の水中に沈められる、いわゆる水中渡御が行われていた。 この他、矢口の渡しに伝わる新田義興の御霊伝説も広く知られている。 1831年には宿河原村にあった松の枯れ木「綱下げ松」に霊験があるとの噂が立ち、江戸からの観光客が大挙して押し寄せ、騒ぎは翌年まで続いた。風紀紊乱を問題視した江戸幕府が徹底的にこれを取り締まり、1833年には「綱下げ松」も伐採されてこの騒ぎは収束した。
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