企業における離職率
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/01 20:30 UTC 版)
ひとつの企業に注目する場合の離職率は、ある時点でその企業に雇用されている労働者のうち、一定期間の間に雇用関係を解消し、職を離れた者の比率、と捉えられる。起算日(期首など)から、一定期間(例えば、1年間)の離職者数を、起算日における在職者数で除するのが一般的な方法であるが、新入社員について3年間程度の期間で離職率を求めたり、中途入社した者について、それぞれの入職の時点を起算日として計算することもよくある。また、分母についても、期中に入職してすぐに離職する者の存在を考慮して、期首雇用者数に期中入職者数を加算する方法や、期首と期末の雇用者数の平均値を用いる方法もある。 企業への就職希望者は、その企業の労働環境を判断する材料のひとつとして離職率を考慮することが一般的であるが、特に内定を受けた者が離職率について尋ねる例が多いとされている。 一般的に、比較的短期間のうちに成果を上げることが求められる仕事では離職率は高くなる傾向があり、逆に長期的な技術の蓄積、熟練を要する仕事では離職率は低くなる傾向があるとされる。また、離職率が低い(定着率が高い)企業では、社員の勤続年数が長くなるが、これは人材が流動せず、組織が硬直化していることの反映とみることもできる。 雑誌『東洋経済』が、日本の主要企業について、新入社員の3年後における在職状況から作成したランキングによれば、鉱業、ゴム製品、電気・ガス、空運業、石油・石炭製品、非鉄金属、ガラス・土石製品、精密機器は離職率が10%以下と低く(定着率90%以上と高く)、逆に小売業、倉庫・運輸関連業、サービス業、不動産業、パルプ・紙、証券・先物取引のパルプ・紙を除く非製造業の離職率は20%以上と高い(定着率80%未満と低い)。 非製造業の離職率が高い理由は、人手不足を背景とした労働負担の増加など構造的な問題が離職率を上げてしまっていると推測される。同じく雑誌『東洋経済』がまとめたランキングによると、2010年から2015年の5年間で正社員を減らした企業ワースト3はランド (不動産会社)(99%)、ユニデンホールディングス(電気機器)(92%)、小僧寿し(92%)となっており、ワースト3のうち2つは確かに小売業・サービス業となっている。 離職率の計算には退職理由は考慮されないため、大量のリストラを実施したために離職率が上昇することもある。
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