仮像と仮晶
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/03 09:51 UTC 版)
自然界の物質には、長期間の代謝や風化によって仮像(英: pseudomorph)を起こすことがある。仮像には、物質中の分子配列が単に変化したり成分の増減により組成が変わる変質仮像(英: infiltration pseudomorph)と、物質中の成分が化学変化や置換によって全く入れ替わった結果、元の自然物との間に何らの化学的関係のなくなった交代仮像(英: substitution pseudomorph)とがある。自然物が鉱物の結晶であった場合、色、硬度、その他の特徴が交代仮像を起こし元の結晶形が維持された鉱物を「元の鉱物の仮晶」と呼ぶ。鉱物から鉱物への置き換えの一例に アラゴナイト仮晶の自然銅双晶があり、ボリビアのコロコロ銅山(英語版) でイギリスの銅山会社(en:Corocoro United Copper Mines)が産出を報告した。 なお、土中の化石が仮像を起こすことはよくある。珪化木は、リグニンの沈着で木質化した部分がシリカ (水晶またはオパール) と置き換わったもので、木の細胞構造が保たれた完全な交代仮像である。恐竜の化石やアンモナイト、二枚貝にはアパタイトやアラゴナイトがシリカで置換されたもの(アンモライト、シェルオパール)や黄鉄鉱で置換されたものが見つかっている。これらは通常は仮晶には含めない。 仮晶となる原因としては、 多形の関係にある鉱物同士が温度や圧力の変化などにより入れ替わる場合。 鉱物が化学反応を起こして似た組成の鉱物となったり一部の成分が取り残された場合 (例:アラゴナイトから方解石へ)。 鉱物が溶け去った後の空間を別の鉱物が埋める場合 (充填仮像) と、結晶の表面をおおう殻状の場合 (包晶仮像・皮殻仮像)。
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