交通機関と火山灰
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/10 16:38 UTC 版)
地上に積もった火山灰は自動車や鉄道など陸上交通機関に支障を及ぼす。山梨県富士山科学研究所などの実験結果によると、火山灰が12センチメートル積もると二輪駆動車は動けなくなり交通渋滞を引き起こすため、避難は徒歩による必要がある。 火山灰が空気中を舞っている状況では、エンジンの吸気口に防塵フィルターを付けた軍用ヘリコプターなど、対策を行っている航空機を除いて運行できない。エンジンに吸い込まれた極細粒の火山灰は、内部の熱で融解して付着し、部品を腐食あるいは破損させるためである。また高速で移動する飛行機に火山灰が衝突すると、操縦席の窓ガラスを目の荒いヤスリで擦った様に傷つけることになり、視界が悪くなるおそれもある。 火山灰が航空機に影響を及ぼした事例としては、1982年にジャワ島のガルングン山の近くを飛行中の旅客機が、火山灰の雲に入り、4基のジェットエンジン全てが一時的に停止するトラブルに見舞われた事例(ブリティッシュ・エアウェイズ9便エンジン故障事故)がある。この事故は高度37,000フィート(約11,300メートル)で起こったものである。1万m以上に到達する噴煙は2、3年おきにあり、2000年前ではあるが推定高度51kmという噴煙の事例もあり、高高度だからといって安全だとは限らない。 2010年、アイスランドにあるエイヤフィヤトラヨークトルの噴火によって発生した、史上初の航空路の大混乱の結果として、「空気中1m3あたり2mg未満の火山灰」という飛行可能基準がCAA(イギリス民間航空局)によって制定された。それまでは火山灰があれば完全飛行禁止であった。ただし、飛行許可を得るには、事前に地上からのLIDAR(レーザー光レーダー)による計測を行う必要がある。
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