予備尋問
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予備尋問(よびじんもん、英: Voir dire)とは、英米法の刑事事件および民事事件の陪審手続において、陪審員候補者や証人の適格性を確認するために行われる尋問[1][2][3]。"voir dire"はアングロ=フランス語を語源とする[4]。
趣旨
予備尋問では陪審員候補者の偏見あるいは当事者との関係性の有無をあらかじめ確認するため、裁判官、検察官(刑事事件の場合)、被告・被告人の訴訟代理人(弁護人)が尋問を行い忌避を申し出る[2][5]。
予備尋問による陪審員候補者の忌避には理由付忌避(challenge for cause)と専断的忌避(peremptory challenge)がある[2]。理由付忌避は理由を示して行う忌避で事実審裁判官が理由が相当と判断すれば陪審員候補者が排除される[2]。一方の専断的忌避は理由を示す必要のない忌避で陪審員候補者は自動的に排除される[2]。なお、予備尋問は証人に対しても行われる[5]。
出典
- ^ 小山貞夫『英米法律語辞典』研究社、2011年、1191頁、ISBN 9784767491073
- ^ a b c d e 松田正照「陪審員候補者に対する専断的忌避権行使の制限根拠 : 「共同体を代表する陪審」とBatson判決の射程拡大」『東洋法学』第59巻第1号、東洋大学法学会、2015年7月、120-85頁、ISSN 0564-0245、 NAID 120005652601、2023年4月13日閲覧。
- ^ Edmonson v. Leesville Concrete Co. (89-7743), 500 U.S. 614 (1991) Legal Information Institute - Cornell University
- ^ voir dire Merriam Webster
- ^ a b 『英米法辞典』東京大学出版会、1991年、899頁
関連項目
予備尋問
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「予備尋問」も参照 選ばれた陪審員は、通常、尋問の手続にさらされる。これは、検察側(民事事件では原告側)と被告人側(被告側)が陪審員に対し異議を述べることができる手続である。コモン・ローの国では、これは予備尋問(ヴワー・ディア:voir dire)と呼ばれている。予備尋問には、陪審員候補者全体に聞かれ、挙手などの形で答える一般的な質問と、個々の陪審員候補者に聞かれ、言葉で答えさせる質問の両方がある。双方の代理人(検察官、弁護士)が陪審員候補者に対し質問できる法域もあるが、裁判官が予備尋問を行う法域もある。 どのような方法で、またどの範囲で陪審員候補者を拒絶できるかは、国によって異なる。 イングランドでは、異議が認められるためには、被告人がその陪審員候補者を知っているというような、十分な根拠がなければならない。 一方、 オーストラリア、カナダ、フランス、ニュージーランド、北アイルランド、アイルランド、アメリカ合衆国などでは、被告人と検察側に、決まった数で無条件の「理由なし忌避」(peremptory challenge) が認められている。ある陪審員を排除するのに、何の理由付けも必要ないというものである。一般的に、弁護人は被害者と同じような職業や生活環境にあり、そのために被害者側に感情移入しやすい陪審員を排除し、一方検察官は被告人と類似点のありそうな陪審員を排除する。ただし、アメリカでは、検察側がマイノリティの構成員を排除し、これに被告人側が異議を述べたときは、バトソン対ケンタッキー州事件判決により、検察側は排除が人種中立的な理由であることを説明しなければならない(後に判例により性中立的な理由の説明についても同様とされた。)。 代理人が裁判官に「理由付き忌避」(challenge for cause) を申し立てることができる法域もある。これは、陪審員の生育環境や信条により、偏見があり、陪審の職務には不適当であるという主張である。アメリカでは(おそらく他の国でも)、これを利用してわざと(例えば法律概念の知識があることを示すなどして)陪審の義務を免れようとする市民もいることが知られている。
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