主題と絵画の源泉
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/21 14:22 UTC 版)
「ペルセウスとアンドロメダ (ティツィアーノ)」の記事における「主題と絵画の源泉」の解説
ギリシア神話によると、エチオピア王国は美しさを鼻にかけた王妃カシオペアによって支配されていた。カシオペアは自身と娘アンドロメダの美しさが、海神ポセイドンに仕える海のニンフであるネレイデスより優れていると主張した。ネレイデスがカシオペアの言動に気づくと彼女たちは激怒してポセイドンに抗議し、ポセイドンはエチオピアの海岸を荒廃させ、カシオペアの王国を危険にさらすためにケートスあるいは海の怪物を呼び出して報復した。王妃は夫ケーペウスともに、ゼウス・アンモンの神託に従って、アンドロメダを怪物に捧げることに決めた。メデューサ退治から空を飛んで戻ってきたペルセウスは、怪物を倒してアンドロメダを救出し、そしてその後アンドロメダと結婚した。 ティツィアーノの絵画はオウィディウスにかなり近いが、画家はラテン語に明るくなかった可能性が高く、主に豊富な選択肢があったイタリア語のやや簡略化されたバージョンに依存していた。これはラテン語の原典との間にあるいくつかの相違点を合理的に説明するかもしれないが、ティツィアーノが物語を自由に解釈しただけかもしれない。オウィディウスでは両親はアンドロメダの近くにいるのに対して、本作品では彼らはおそらく反対側の海岸の都市の近くに小さく描かれた群衆の中にいる。またアンドロメダの足元には貝殻と珊瑚が描かれている。珊瑚はオウィディウスによって言及されているが、しかし物語の後の段でメデューサの石化の力によって生まれたと語られている。オウィディウスはアンドロメダを大理石の彫刻のようであり、泣いていると説明している。この点についてティツィアーノの描写はいずれも一致している。ペルセウスはヘルメス(ローマ神話のメルクリウス)から湾曲した剣を、アテナ(同じくミネルヴァ)からは盾を与えられており、彼はヘルメスのように翼のあるサンダルをはき、翼のある帽子を被っている。 オウィディウスの様々な版のかなり雑な木版画の挿絵、特定の古典的レリーフ、およびミケランジェロ・ブオナローティによる復活したキリストの有名な図面(大英博物館)の両方から、さまざまな視覚的情報源が提案されている。オウィディウスに添えられた挿絵はすべて「ペルセウスがテキストによる裏付けがないメルクリウスに似た翼のある帽子を被り、そしてティツィアーノが後に思い出したかもしれない小さなバロック風の観兵式の盾を携行している」。
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