主題と動機
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ウィーン学団と関連づける具体的な論評は乏しく、後続の絵画にもそのヒントは存在しないうえ、内容は不明と斬って捨てる美術評論も存在する。 奇蹟、魔法、および予言の力は、ウォーターハウスの美術において共通するテーマである。より明確に言えば、魔法使いとしての女性という観念は、オールダム・ギャラリー(英語版)の『オデュッセウスに杯を差し出すキルケ』(Circe Offering the Cup to Ulysees, 1891年)やマンチェスター市立美術館の『ヒュラスとニンフたち』(Hylas and the Nymphs, 1896年)のようなイメージに繰り返し現れているものである。彼の全作品もまた多くの中東的な題材を含んでいるが、彼においては実体験よりも、ジョン・フレデリック・ルイス(1805年-1876年)やローレンス・アルマ=タデマのような同時代の画家ないし芸術家の図像と動機ないし作品に依存している。これはウォーターハウスの初期作の1つであり、彼がエキゾチックなものに魅了されていることを反映している。 この絵のなかの女性は、魔力を、もしかすると予言の力を、授けられた、魔女あるいは女性聖職者であるように見える。彼女の服と全体的な外見は高度に折衷的であり、そしてその派生源はいくつかある。彼女は中東起源の女性の浅黒い肌をしている。彼女の髪形は初期アングロ=サクソン人のそれに似ている。彼女の服はペルシアあるいはギリシアの戦士の装飾が施されている。左手には自分と月およびヘカテーとを結びつける三日月の形の鎌を持っている。また右手に持った杖で、彼女は自分の周囲に保護的な魔法円を描いている。円の外側では風景に草木は無く、不毛である。一団のミヤマガラスあるいはワタリガラスと一匹のカエル(すべてが悪の象徴でありそして魔法と連想づけられる)が締め出されている。しかしその境界内には花々と女性自身、美しい物がある。絵画の意味ははっきりしないが、しかしその謎とエキゾチシズムは同時代の見る者の琴線に触れた。1886年に絵が王立美術アカデミーで展示されたとき、『マガジン・オヴ・アート』(Magazine of Art)の批評家はこのように書いた。「ウォーターハウス氏は、『魔法円』において、それでもやはり最高の状態にある。着想は独創的であり、そして結果は絵画的である」(ホブソン(Hobson)の37ページに引用される)
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