主題と画面構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 01:39 UTC 版)
「聖マウリティウスの殉教 (グレコの絵画)」の記事における「主題と画面構成」の解説
古代ローマのテーベ軍団長であった聖マウリティウスを中心としたキリスト教徒のみで編成されていた一団は、アフリカからガリア地方で起きた反乱を鎮圧するために進軍していた。しかしアゴナムにて、感謝祭の際生贄を捧げることを拒否した。そのため上司のヘラクレスの命によって数十人が虐殺され、マウリティウスは聖人となった。本作には「異時同図法」という、異なる時間の流れを一つの構図の中に収める技法を使っている。本作では三つの時間が集められており、一番奥にローマ皇帝軍の行進、画面中景に処刑画面、手前に信仰に殉ずるか命令に従うかを部下と議論する場面が配置されている。マニエリスム独特の捻られた、緊迫感を感じさせない優美さを持った人物が特徴的である。 右手前の主題である4人の会話のシーンで取り上げられているのはマウリティウス(マウリシオ)のほか、カンディトゥス、エクリスィペリウス、ヴィクトルという『レゲンダ・アウレア』の中でマウリティウスと同様に殉教したとされる聖人たちである。中景となる左端では斬首による殉教と兵士たちが小さく描かれている。その上部ではそれぞれ勝利の冠とシュロの葉を掲げ、他の天使たちは楽器を奏でながら殉教を賛美する姿が描かれている。 右下にはグレコの署名が書かれた紙を蛇が銜え、傍にある切り株と草花と共に象徴的なイメージを形成していると吉川は述べている。また、マウリティウスの背後にはグレコの自画像があるとされている。
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