主題と描写
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 17:49 UTC 版)
「叛逆天使の墜落 (ブリューゲル)」の記事における「主題と描写」の解説
ブリューゲルがアントウェルペンを拠点に活動していた36歳頃の作品である。本作はキリスト教の世界観に基づく宗教画であり、高慢や嫉妬のために神に逆らい、天界を追放された叛逆天使(堕天使)達と、それを追い払う大天使ミカエルに率いられた天使の軍勢との戦いを描いた作品である。この主題そのものは伝統的な画題で、従来は天使を強調して善の圧倒的勝利を描くものであったが、ブリューゲルの本作は混沌とした画面構成で乱戦の様相を呈し、善と悪、美徳と悪徳のせめぎ合いを描いたものとなっている。画面上部中央に円形の至高天が描かれ、そこからもつれ合い墜落するにつれて悪魔と化していく堕天使達は、人間・獣・爬虫類・魚・貝・昆虫・植物・楽器など無数の生物・無生物を合成した怪物として描かれている。その意匠の中には、制作当時新大陸から紹介されたばかりのアルマジロの姿が取り込まれているなど、ブリューゲルの博物学的関心が活かされている。これに対するミカエル達天使は長剣を振るって戦っており、剣の精緻な描写から、絵の注文主は刀剣ギルドではないかとする説もある。多くの小さな人物の間に中心となる人物を配する構図は、同時期のブリューゲルが好んで用いたものである。
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