中部地方の合掌集落
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/05/01 01:21 UTC 版)
日本の富山県の五箇山から岐阜県の白川郷の合掌集落では、現在でも合掌造りの茅葺屋根の葺き替えに結の制度が残っている。葺き替えは約30年-40年に一度行われ、それにかかる労力と費用は莫大なものである(単純に人件費を現代の価値に換算すると片面の葺き替えだけでも1千万円以上ともいう)が、これらは無報酬で行われた。 葺き替えの手順はだいたい以下の通りである。作業の3年以上前から準備が始まる。 屋根の面積から必要な茅の量と人員を概算する。 作業の日取りを決め、集落を回り葺き替えをいついつ行うので手伝って欲しいと依頼する。 予め作業に必要なだけの茅を刈って保存しておく(そのための「茅場」を確保してある)。 役割分担を決める(茅を集める者、運ぶ者、茅を選別する者、縄などその他道具を準備する者など)。 上記は専ら男性の作業である。女性は作業に従事した者達への食事、休息時の菓子、完成祝いの手土産の準備を行う。 屋根の両面を同時に吹き替えることはほとんど無く、片面のみを2日間で仕上げる。 1日あたり200人から300人の人手が必要となる。100人以上が屋根に登るさまは壮観である。 近年は過疎化や第一次産業の衰退、高齢化などで結の維持が難しくなってきている。一方でナショナル・トラストや一般のボランティアが各地より集まり、葺き替え作業を共同で行うようになった。なお、白川郷では結を行う組織を合力(コーリャク)と呼び、また結の範囲は屋根の葺き替えに限らず、代掻き、田植え、稲刈り、草取り、薪割り、冠婚葬祭など生活全般に及ぶ。
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