中棒
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/11 10:23 UTC 版)
傘の心棒を構成する部品。中軸、シャフトともいう。伝統的には、堅牢性を求めて組成密度の高い品種の木材が好まれて使われてきた。現代でも高級傘には高密度木材が好まれるほか、堅牢性を求めて中空管状のチタン材、カーボネート材が用いられる例が見られ、主に折畳み傘には軽量性を兼ね堅牢性も確保する目的で特殊アルミニウム合金や特殊プラスチックも好んで用いられる。普及品については、原料価格を抑えるためにそれほど組成密度が高くない木材やスチールが用いられることが多い。 この部位は接合部が多く、施工が不充分であると、接合部がキシミを生じて使用者に不快感を与える原因となる。また、この部品は、湾曲などがあるとスムーズに開傘できず、また傘全体を支える接合点が多い主要部品であるため特に堅牢性が求められ、木材を用いる場合には材木に経年劣化・変形がないように適正な乾燥安定化処理および正確な造形加工が必要となるほか、金属や特殊樹脂を用いる場合にも精巧な造形加工が必要となるため、傘メーカー・傘職人にとっての主要な技術が求められ、いわゆる「腕の見せ所」のひとつとなっている。 石突 中棒の先端部分 陣笠 傘の頂点にある円錐形の固定部品 上ロクロ(ノッチ) 親骨の接合部分 止め鋲(ストッパー) 開傘時に下ロクロを上側から固定する部分 上ハジキ(ウワハジキ) 開傘時に開傘状態を保持するために下ロクロを下側から固定する部品。 下ロクロ(ランナー) 中棒を上下にスライドして傘の開閉を行う部品。 下ハジキ 閉傘時に閉傘状態を保持し無駄に開傘しないようにするために中棒下部の手元(ハンドル)近くに設置された部品を「下ハジキ」と呼称する。 玉留め 中棒とハンドルの接合部に取り付ける部品。 手元(ハンドル) 中棒(中軸)に付属している開傘時の「持ち手」となる部品で、英称を用いて「ハンドル」と称することも多い。長尺の傘においては、中棒(中軸)の径と手元(ハンドル)の穴径を微妙にマッチさせる技術が求められる。通常は、強力な接着剤で固定したり、中棒(中軸)・手元(ハンドル)双方が木材である場合は職人によっては特殊な組木処理を施すため、簡単に交換することは不能である。折畳み傘の場合には、ねじ式の構造が多く見られるため、交換は容易である。 高級品志向のユーザは、この部位が開傘時・閉傘時を問わず目立つこと、直接自らの手に接する部分であることなどから、手元(ハンドル)に焼き加工や特殊加工を施した高級木材・高級竹材などを用いることを好む。
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