中国政府と少数民族の間に関する諸問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/05 20:21 UTC 版)
「中国の少数民族」の記事における「中国政府と少数民族の間に関する諸問題」の解説
これらの少数民族には、各自の言語、文化を維持する権利が保証されている。特に各少数民族語を教授言語とする初等中等教育が原則保証されているが、実際は普通語以外による高等教育は認められず、また少数民族語を教授言語としても、各少数民族史の授業を認めないことが同化政策として問題視されることもある。 一方、少数民族の優先的な上級学校進学、公務員採用などのアファーマティブ・アクションも採られているとされ、この恩恵に浴するために漢族が戸籍を弄り、少数民族を詐称することが問題になっているという。また、「両少一寛(中国語版)」という少数民族による犯罪を漢族より軽く罰するという優遇政策も中共中央の公式文書で定められており、漢族からは「逆差別だ」と不満の声も上がっている。 また、個人レベルのみならず、自治県などの民族自治地区に指定されると、毎年に中央政府の財政による少数民族地区向けの交付金が地方政府に入る。このような優遇政策を享受するため、1980年代に一部の県が自治県に移行しようとして、県内在住者の「民族成分回復」を奨励した。つまり家譜や家族の習慣などをもって、「祖先が少数民族」ということが政府により認定されれば、漢族から少数民族への戸籍変更ができる。調査によると、河北省囲場県が満族・モンゴル族の自治県へ移行しようとした際に、県内の多くの人の民族が申請により漢族から満族またはモンゴル族に変更した。1982年のデータ(満族17,260人、モンゴル族3,089人)に比べると、1985年の囲場県内の満族が8倍以上の143,277人、モンゴル族が12倍以上の37,042人に増えた。実際に自治県に移行した1990年には同県内の満族が243,823人、モンゴル族が57,117人となった。
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