三たび危機を乗り越えた共楽館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/10 02:56 UTC 版)
「共楽館」の記事における「三たび危機を乗り越えた共楽館」の解説
2010年(平成22年)1月、共楽館の改修工事が開始された。館内の工事は3月半ば、屋根は5月から工事が始められた。工事は順調に進み、2011年(平成23年)2月には共楽館の周辺整備が始まった。 共楽館の改修工事がほぼ終了し、竣工直前となっていた2011年(平成23年)3月11日、東日本大震災が発生した。日立市は震度6強の揺れに襲われ、多くの建物が全半壊した。しかし共楽館は耐震補強工事が終了した直後であったため、2階部分の漆喰壁に若干の被害があった他、玄関と土台に浅いひびが入った程度の極めて軽微な被害にとどまった。大震災は改修工事の進捗に影響を与えることは無く、3月25日には竣工し、工事内容の検査も月末までに完了した。そして5月からは日立武道館としての利用が再開された。 現在、大都市部にある商業資本による大劇場以外、日本にある劇場、芝居小屋の多くは行政が所有権を持ち、個人所有の劇場、芝居小屋もなんらかの公的支援を仰いでいる例が多い。これは現状では劇場のほとんどが商業ベースに乗っていないことの反映であり、劇場、芝居小屋の再生、そして再生された後も公的支援が不可欠な現状となっている。一方、かつての劇場、芝居小屋の再生運動や運営に参加している人たちの意識は、古い劇場、芝居小屋へのノスタルジー、地域住民として劇場、芝居小屋の運営に参画していくという意識、そして町おこしという3つの意識が交錯していて、地方自治体の財政難の中、支援している人々と行政との間の溝が深まっている。 このような流れの中で、共楽館のありかたについても、劇場、芝居小屋としての復活を求める市民団体である共楽館を考える集いがある一方で、財政難の中、改修工事も当初の予定通りには進まず、結局建物の老朽化と耐震性の問題を解決する必要最小限の工事が行われ、日立武道館として使用が再開されている。改修工事後も劇場、芝居小屋としての復活を求める声は継続しており、これまで戦災、劇場、芝居小屋の衰退、そして東日本大震災という危機を乗り越えてきた共楽館は、そのあり方についての論議が続いている。
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