万物の創造主
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 09:08 UTC 版)
『古事記』の序では、撰者の太安万侶により、「然して乾坤初めて分れて、参神造化の首を作し、陰陽斯に開けて、二霊群品の祖たり。」とある。これより、造化の始めとなったのは天御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神であり、万物の祖はイザナギ・イザナミであると観念されていることが分かる。 平田篤胤が禁書であったキリスト教関係の書の影響を受け、天之御中主神(アメノミナカヌシノカミ)を万物の創造主として位置づけたものである。尊王攘夷思想の基盤を形成し、近代の教派神道各派にも強い影響を与えている。国家神道の基盤ともなったが、神道事務局祭神論争(1880年 - 1881年)での出雲派の敗退により表舞台からは消えて潜勢力となった。天御中主神・高皇産霊神・神皇産霊神は造化三神とされた。造化三神は、多くの復古神道において現在でも究極神とされている。中でも天御中主神(アメノミナカヌシノカミ)は最高位に位置づけられている。なお、平田以前のキリスト教と大元の一神を比較する言論には、吉川惟足による、『神道大意』(吉田兼直撰とされるもの)の注釈である『神道大意註』でのバテレンの道も国常立尊の一元から起こるというものがある。 また、平田篤胤より遥か以前に、神道界の実権を握っていた吉田神道では宇宙の根源神である虚無太元尊神を祀り、現在でも吉田神社では大元宮で虚無大元尊神と八百万の神を象徴する天神地祇八百萬神を祀っている。また両部神道に関連する鎌倉時代頃の書物『三角柏伝記』には、既に大元尊神の語が見える。大元(おおもと)神社は、厳島神社にもあり、広く確認される神社である。更に島根県には、大元(おおもと)神楽が伝承されている。 吉田神道より以前には、伊勢神道などが国之常立神を根源神とみなした。 1814年に「天命直授」して黒住教を立教した黒住宗忠は、天照皇太神を、万物を生じさせる親神とした。
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