一般のパストラル文学(田園文学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/27 16:11 UTC 版)
「パストラル」の記事における「一般のパストラル文学(田園文学)」の解説
文学では、形容詞の「パストラル」は、田舎の話題、あるいは羊飼い・牛飼いなどの農園労働者にまじっての田園地方での生活を指し、それはロマン主義化ならびに非現実的な手法で描かれることが多い。実際、パストラルな生活は人生の余生よりむしろ最盛期として描かれることが時々ある。典型的なパストラルの雰囲気はクリストファー・マーロウの『若き羊飼いの恋歌』が手本となった。「一緒に暮らそうよ、僕の恋人になって/二人で楽しもう/丘、渓谷、谷、野原/そして岩山がもたらす喜びすべてを/岩の上に座って/羊飼いが餌をやるのを見ていようよ/浅い川のそば、流れに合わせて/鳥たちがマドリガルを歌ってるよ」。 パストラル文学に登場する「羊飼いと乙女」は普通「コリュドン」「フィロメーラ」というギリシャ人名で、それは「パストラル」というジャンルの起源を反映したものである。パストラル詩(田園詩)は美しい田園の風景、文学用語で言うと「ロクス・アモエヌス(locus amoenus)」((ラテン語で「心地よい場」)を舞台とする。これは例えば、ギリシャの田園地方であり、またギリシア神話ではパーンの故郷でもあるアルカディアのような場所である(en:Locus amoenus参照))。詩人たちはアルカディアを一種のエデンの園のように描いた。羊の世話などの現実の田舎の雑用は、空想の中でほとんど労力を必要としないものとされ、背景の中に埋もれ、女羊飼いとその求婚者のことはほとんど余暇の状態の中に捨て置かれる。そうすることで羊飼いたちを永久のエロティックなファンタジーに具象化できるのである。羊飼いたちはかわいい女の子たちを追いかけることに、ギリシアやローマの詩ではかわいい男の子たちを追いかけることに、時間を費やす。ウェルギリウスの第二エクローグ『Formosum pastor Corydon ardebat Alexin(羊飼いコリュドンは美しいアレクシスに熱をあげる)』は完全に同性愛である。
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