ロマ語標準化運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 08:58 UTC 版)
詳細は「en:Romani language standardization」を参照 現在、ロマ語の標準化に向けてルーマニア、セルビア、アメリカおよびスウェーデンのグループが動いている。 セルビアではロマ語の標準形が用いられている。同国のヴォイヴォディナ自治州ではロマ語が州公認の少数言語のひとつとされており、ロマ語を用いるラジオ局や報道機関が存在している。確認されている限り最も多くのロマ人口を抱えているルーマニアにおいては、国内で話されている全方言を包括的に扱うための統一化された教育システムとして後述のゲオルゲ・サラウ(英語版)による標準ロマ語が採用され、高等教育のみならず初等教育の場においてもロマ語教育やロマ語を用いた各教科の教育が行われている。また、スペインやイギリスなどにおいては、既にロマ語を話さなくなっていたロマ集団がロマ語復活を行おうとする中で標準化運動が進められている。これらの場合においては特定の方言の復活という形ではなく様々な方言を基にした標準語の構築が指向されている。スペインの政治家フアン・デ・ディオス・ラミレス・エレディア(英語版)はスペイン系ロマの伝統と他地域のロマ達との間の相互コミュニケーションの双方を念頭に置き、標準ロマニ語に現在話されているカロー語(英語版)の単語を組み込んだロマノ・カローの普及を推進している。 このように様々な「国際的な」標準化運動が行われているものの、現状としては標準語の使用よりむしろそれぞれの方言固有の表記方法や語彙を用いた文章化の方が一般的に行われている。国際的な標準語が制定されれば他国で執筆されたロマ語の文章の読解も容易になるものの、ロマの各コミュニティ間の足並みのバラつき、そしてロマにとって中央政権と呼べる存在がない事などによって実現には至っていない。ただし、言語的な多元性という点については欧州評議会ロマ代表である欧州ロマ・トラヴェラーズ・フォーラムがホームページ上で方針のひとつとして記載している他、故ミレナ・ヒュプシュマンノヴァー(英語版)やディーター・W・ハルヴァクス、ヤーロン・マトラス(英語版)といった主要なロマ語専門の言語学者からも支持されている。オンラインロマ語辞典のRomLexでは一貫性のある統一された表記法が用いられつつも各方言特有の表現を取り入れるという形で多元性を認めている。
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