ルワンダ虐殺下の強姦
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/14 00:14 UTC 版)
「ルワンダ虐殺」の記事における「ルワンダ虐殺下の強姦」の解説
1998年、ルワンダ国際戦犯法廷は裁判の席で「性的暴行はツチの民族グループを破壊する上で欠かせない要素であり、強姦は組織的かつツチの女性に対してのみ行われたことから、この行為がジェノサイドとして明確な目的を持って行われたことが明らかである」との判断が下された。つまり、ルワンダにおける戦時下の強姦をジェノサイドの構成要素の1つと見なされたのである。しかしながら、組織的な強姦や性的暴力の遂行を明確に命じた文書は見つからず、軍や民兵の指導者が強姦を奨励したり命令したり、あるいは強姦を黙認したという証言のみが示された。ルワンダ虐殺における強姦は、女性に対する残虐さの著しい度合いや、強姦が非常に一般的に行われるといったツチ女性に対する性的暴力が煽られた原因として、組織的プロパガンダの影響が他の紛争下の強姦と比較して際立っていると指摘されている。 ルワンダの国連特別報告者、ルネ・ドニ=セギ (René Degni-Ségui) による1996年の報告では、「強姦は命令によるもので、例外はなかった」と述べられている。同報告書はまた「強姦は組織立って行われ、また虐殺者らの武器として使用された」と指摘している。これは虐殺犠牲者の数と同様に強姦の形態から推定できる。先の報告書では、少女を含むおよそ25万から50万のルワンダ人女性が強姦されたと記している。2000年に行われたアフリカ統一機構主催のルワンダ国際賢人会議 (International Panel of Eminent Personalities on Rwanda) では、「我々は、ジェノサイドを生き残ったほとんどの女性が、強姦もしくは他の性的暴力の被害に遭った、あるいはその性的被害によって深く悩まされたことを確信できる」との結論が出された。強姦の犠牲者の大半はツチ女性であり、未成年の少女から高齢の女性まで幅広く被害に遭ったが、一方で男性に対する強姦はほとんどなかった。また、穏健派フツの女性もフツの裏切り者とされて強姦された。男性に対する性的暴行例は少ないが、殺害時の拷問として男性器の切断が多数行われ、この切断した性器が群衆の前で晒される事もあった。ルワンダ虐殺下における強姦を主体となって行ったのはインテラハムウェなどのフツ民兵らであったが、大統領警備隊を含む旧ルワンダ軍 (RAF) の兵士や民兵のほか、民間人による強姦も行われた。2008年にはルワンダ法務省により、「フランス兵はツチ女性に対する強姦を複数行った」とする声明が出されているが、これについては現在のところ実証されていない。
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