リスボン条約第50条
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/17 05:56 UTC 版)
「イギリスの欧州連合離脱」の記事における「リスボン条約第50条」の解説
欧州連合からの離脱は、リスボン条約第50条に準拠している。第50条の召喚手続き下において、加盟国は欧州理事会に通知し、EUには「離脱国とのあいだで合意交渉を締結し、EUとの将来の関係の枠組みを考慮しながら、離脱の取り決めを定める」ことが求められる。交渉期間は延長されない限り2年に限定され、その後条約の適用はされなくなる。離脱条項と第50条に基づく将来関係との並行交渉が適切なものなのか、あるいは長らく加盟国であった英国がEUとの間で将来の貿易交渉する権利を有するかについての議論があった。 国民投票法2015(英語版)では第50条の発動を明示的に要求していないが、英国政府は国民投票の結果、キャメロン首相は辞任し、次期首相が第50条を発動することになるだろうと述べた。 英国最高裁判所は、2017年1月のミラー訴訟において政府が第50条を発動させるには議会の承認を必要とするとの判決を下した。2017年2月1日、下院は首相に第50条に基づく離脱意思を通知する法案を圧倒的多数で承認し、法案はEU離脱通知法2017(英語版)として立法された。3月28日、テリーザ・メイ首相は英国EU大使ティム・バロウによってドナルド・トゥスク欧州理事会議長に届けられる第50条発動書簡に署名した。 第50条の離脱プロセスは英国政府によって一方的にキャンセル出来る可能性があると主張された。しかし欧州議会のブレグジット委員会は、EUの加盟国がEUを脅迫するためにそれを悪用する可能性があることから、その合法性にかかわらず一方的な取消しはかなりの道徳的危険をもたらすと述べた。 第50条に基づく通知の可逆性(キャンセルの可能性)は訴訟の対象であり、スコットランドの超党派の議員と良い法律プロジェクトが欧州司法裁判所に持ち込んだ。英国政府はこれを最終的に英国最高裁判所でブロックしようとしたが、試みは成功しなかった。 2018年12月10日、欧州司法裁判所は実際に無条件かつ誠意をもって離脱をキャンセルした場合、その国は一方的にEUからの撤退を取り消すことができると判決した。しかし英国政府はその権利を行使する意図はないと対応した。
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