メディア文化における生活様式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/16 03:55 UTC 版)
「生活様式」の記事における「メディア文化における生活様式」の解説
「生活様式」という用語は、テオドール・アドルノによれば、1950年代に芸術用語における様式(スタイル)(英語版)からの派生で導入された。 芸術における様式の文化産業へのリサイクルである「生活様式」は、かつて一時は否定性(衝撃・解放性)を持っていた美的カテゴリーが、商品消費の質へと転換したさまを体現している。 アドルノは、マスメディアを巻き込んだ「文化産業」は存在するが、「大衆文化」という用語は妥当ではないと指摘する。 我々の草稿で、「大衆文化」について触れた。 その表現を「文化産業」に置き換えることで、次のような意見の支持者に同意されうる解釈をあらかじめ除外した。すなわち、それが大衆自体から自然に生じる文化のようなもの、現代的な形式の大衆芸術にまつわるものなのだ、という意見である。 先進資本主義にけるメディア文化は一般に、新商品の消費を促すために新たな生活様式を創り出す。 多様性は以前よりも効果的にマスメディアに表れているが、それが明白で疑う余地のない吉報というわけではない。1950年代後半までに、資本拡大の目的に対して意識の均質化は逆効果になった。つまり、新しい商品に対する新たなニーズを創造しなければならず、そのためにはそれまで排除されてきた最低限の否定性を再び持ち込む必要があったのである。戦後の統一と安定化の時代に至るまで近代を通じて芸術の特権であった新しさの崇拝は、それが元来起こったところの資本の拡大に先祖返りした。しかしこの否定性は、日常生活の基本的構造の変化を予感させるものではないため、衝撃的でも解放的でもない。 それどころか、資本は文化産業を通じて、新しく「一味違った」商品の絶えざる生産のなかで通時的に、またそれまでにない「生活様式」の推進のなかで共時的に、否定のダイナミクスを取り入れてきたのである。
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