マツに対する災害
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 00:40 UTC 版)
シカ、ウサギ、ネズミによる食害、干ばつ・風・雪氷などの気象災害や塩害などはマツにダメージを与える。シカとウサギによる被害は個体が小さい時や新芽に限られる。 干ばつは多くのリギダマツの実生苗を殺してしまう、特に2年生以下の若い苗は感受性が強く被害にあいやすい。1957年の夏季の干ばつではある試験地(プロット)に前年に採り播きした種から育てた稚樹の8割を枯死させた。風による被害で最も一般的なのは何かしらの弱点のある大きな個体での損傷である。しかしながら、ハリケーンのような強い嵐では老木や20年生以上の植林地において多くの個体を倒してしまう。特に根が腐っている個体は影響を受けやすい。湿雪や氷が梢や枝に付着してその重みで損傷する冠雪害はどの樹齢でも見られる。本種の葉は塩分の付着には、本種とともに森林を構成している生き物たちよりも強い。しかし、ハリケーンや強風によって大量に付着してしまうと、葉を枯らしてしまう。沿岸部では広範囲にみられることがあり、個体を枯死させるほどではないが生長は抑制される。 いくつかの菌類はマツを加害するが、多くの場合重大な全身症状は起こさない。幹に寄生するサビキンの仲間がいくつかいる。葉に着くサビキンの仲間にはColeosporium、 Ploioderma lethaleや P. hedgcockiiなどがいる。小枝には腫瘍病(canker)が発生し、原因菌はDiplodia peneaなどである。他のマツにも多くの被害を与えるマツノネクチタケ(Heterobasidion annosum)が引き起こす根株心腐病は根元の心材を侵して物理的な強度を下げてしまうが、概ね75年生ぐらいまでは倒れることはない。 多くの昆虫がマツを加害する。とくに重要なのがガの仲間であるRhyacionia frustranaやR. rigidanaである。マツの葉に着くシャクトリムシはLambdina属のガの幼虫である。マサチューセッツ州ケープコッド(Cape Cod)ではこのシャクトリムシが周期的に発生している。1954年の発生ではケープコッドの約20000 haのマツのが丸裸にされてしまった。ハバチ・キバチの仲間もマツを加害するNeodiprion lecontei, N. pratti paradoxicus, N. pinusrigidaeやキクイムシの一種Dendroctonus frontalisなども来る。 日本で問題になっているマツ材線虫病に対しては強い抵抗性を示す。このことは線虫が北米原産であり、土着のマツに対しては病原性が弱いことを示す。 Lambdina属のガの幼虫 マツノネクチタケ (Heterobasidion annosum)
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