ペタライトとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > デジタル大辞泉 > ペタライトの意味・解説 

ペタライト【petalite】

読み方:ぺたらいと

ケイ酸塩鉱物一種。透明、白色灰色などの板状または柱状の塊。劈開(へきかい)が発達し、もろい。単斜晶系リチウム鉱石として知られる陶土として高熱強く土鍋用いられるペタル石葉長石化学式LiAlSi4O10


葉長石

(ペタライト から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/12 05:30 UTC 版)

葉長石(ペタル石)
分類 ケイ酸塩鉱物
シュツルンツ分類 09.EF.05
化学式 LiAlSi4O10
結晶系 単斜晶系
対称 単斜晶系プリズム
H-M symbol英語版: (2/m)
空間群: P 2/a
単位格子
  • a = 11.737 Å
  • b = 5.171 Å
  • c = 7.63 Å
  • β = 112.54°
  • Z = 2
晶癖 板状、柱状結晶、柱状の塊
双晶 一般的、層状構造
へき開 一方向に完全、そのほかでは不明瞭
断口 貝殻状
粘靱性 もろい
モース硬度 6 - 6.5
光沢 硝子体、へき開部で真珠
白色無色灰色黄色ピンク
条痕 無色
透明度 透明から半透明
比重 2.4
光学性 二軸性 (+)
屈折率
  • nα = 1.504
  • nβ = 1.510
  • nγ = 1.516
複屈折 δ = 0.012
光軸角 2V 82 – 84°
融点 1350 °C[1]
可融性 5
溶解度 不溶性
文献 [2][3][4][5]
プロジェクト:鉱物Portal:地球科学
テンプレートを表示

葉長石(ようちょうせき、petalite)あるいはペタル石(ペタルせき)[6]は、鉱物ケイ酸塩鉱物)の一種。化学組成LiAlSi4O10で、結晶系単斜晶系1800年スウェーデンウート島英語版の鉱山でジョゼ・ボニファチオ・デ・アンドラダにより発見された[3][7]。名前はギリシャ語を意味する petalon に由来する[3]ポルックス石と共産したことから命名された「カストル石 castorite」としても知られる(1846年命名のため無効となっている)。

元素のリチウムは、1817年ヨアン・オーガスト・アルフェドソンにより葉長石から発見された。

産出地

ウート島英語版ハーニンゲストックホルムジンバブエ等で見られる。日本では、福岡県長垂に産する[8]

リチウムを含んだペグマタイトと、リシア輝石リチア雲母電気石の含まれる鉱床で生成される。

性質・特徴

結晶状の塊。無色灰色黄色、黄灰色、白色等の色。

炭酸成分が少なく、高密度含水アルカリホウケイ酸塩液体の存在する3 キロバール (kbar) の圧力下で~500度に熱せられると、リシア輝石石英に転換される[9]

用途・加工法

葉長石は重要なリチウムの鉱石。 無色のものはしばしば宝石として利用される。 萬古焼(ばんこやき)(四日市市)の土鍋に使用され、熱膨張率が非常に小さいために高熱でも鍋が割れない。

家電や自動車に幅広くリチウムイオン電池の需要が世界で広がってきたのを背景に価格が上昇傾向にある。土鍋に向いているジンバブエ産は2017年頃の1キログラムあたり100円程度から、2023年現在1000円程度に高騰しており、伝統窯業はペタライトの代替化を迫られている[10][11]

ギャラリー

脚注

  1. ^ Petalite” (英語). Digitalfire Reference Database. Digital Fire. 23 October 2011閲覧。
  2. ^ Petalite” (PDF) (英語). Handbook of Mineralogy. Mineralogical Society of America. 2011年12月5日閲覧。
  3. ^ a b c Petalite (英語), MinDat.org, 2011年12月5日閲覧
  4. ^ Petalite (英語), WebMineral.com, 2011年12月5日閲覧
  5. ^ Hurlbut, Cornelius S.; Klein, Cornelis (1985). Manual of Mineralogy (20th ed. ed.). Wiley. pp. 459-460. ISBN 0-471-80580-7 
  6. ^ 文部省編『学術用語集 地学編』日本学術振興会、1984年、324頁。 ISBN 4-8181-8401-2 
  7. ^ Weeks, Mary (2003), Discovery of the Elements, Whitefish, Montana, United States: Kessinger Publishing, p. 124, ISBN 0766138720, https://books.google.com/?id=SJIk9BPdNWcC 10 August 2009閲覧。 
  8. ^ 松原聰宮脇律郎『日本産鉱物型録』東海大学出版会国立科学博物館叢書〉、2006年、99頁。 ISBN 978-4-486-03157-4 
  9. ^ W. A. Deer (2004). Framework silicates: silica minerals, feldspathoids and the zeolites (2. ed. ed.). London: Geological Soc.. p. 296. ISBN 1862391440 
  10. ^ リチウム需要増、伝統窯業に打撃”. 日本経済新聞 (2023年6月10日). 2023年6月11日閲覧。
  11. ^ 国産「土鍋」、原料調達難で価格高騰の可能性…鉱石「ペタライト」EV電池と争奪戦 (読売新聞2023年11月5日)

参考文献

関連項目

外部リンク



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「ペタライト」の関連用語

1
葉長石 デジタル大辞泉
100% |||||

2
ペタル石 デジタル大辞泉
100% |||||



5
10% |||||




ペタライトのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



ペタライトのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの葉長石 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS