ヘッドガスケットの種類
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/19 11:09 UTC 版)
「ヘッドガスケット」の記事における「ヘッドガスケットの種類」の解説
積層金属(MLS/Multiple Layers Steel) - 現在最も一般的にヘッドガスケットとして用いられる材料。3層の金属を重ね合わせて製造され、接触表面はバイトンなどの特殊ゴムでコーティングされている。更にシリンダーボアや油穴・ウォータージャケットの部分には個別に特殊ゴム製のOリングが備えられている。 銅 - 銅は熱伝導性が良いために古くからヘッドガスケットに用いられる材料で、無垢の銅製シートをシリンダーヘッドの形状に切り出して製造される。かつてはシート全体に液体ガスケットを塗布して装着していたが、近年ではシリンダーボアに合わせたワイヤー製のOリングを埋め込む加工を施こされた物も登場し、液体ガスケットの塗布が不要となっている。銅製ヘッドガスケットは他の材料のものに比べて素材のシール特性はやや劣る(特殊加工されていないものは、液体ガスケットの塗布が必須)ものの、非常に長持ちする材料であり、一度使用して変形したガスケットであっても油分を落としてバーナーで高温で熱した後にゆっくりと冷ます焼きなましを行うことで何度も再利用することが可能であった。 コンポジット - アスベストやグラファイト、雲母などの複合素材で作られたガスケットで、金属製ガスケットよりも古い時代から存在する技術である。比較的柔らかい素材でシール特性に優れるが、一度取り付けてしまうと取り外しの際にシリンダーヘッドやシリンダーブロックの合わせ面に張り付いて剥離してしまい、再使用は極めて困難である。また、金属製ガスケットに比べて熱伝導性や強度に劣り、高回転高負荷でのシリンダー吹き抜けなどのトラブルも起こりやすかった。特にアスベスト製のものが健康被害の問題を取り沙汰されたこともあり、近年では余り用いられなくなっている。 エラストマー - ローバー・K型エンジンで初めて用いられた素材。鉄製のベースガスケットの両側に板状に整形された工業用エラストマーを貼り付けたもので、ウォータージャケットや油穴周りはシリコンゴム製のOリング、シリンダーボアには金属製のリングを嵌め込むことでシール性能を強化した。このガスケットの製造技術は当時のF1で用いられていた技術がベースとなっていた。
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