ヘッドガスケットの不具合
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2016/02/19 11:09 UTC 版)
「ヘッドガスケット」の記事における「ヘッドガスケットの不具合」の解説
ヘッドガスケットが各シリンダー間の圧縮をシール出来なくなると、吹き抜けと呼ばれる現象が発生してシリンダーの圧縮圧力がエンジン外や別のシリンダーに抜けてしまい、正常な圧縮圧力がシリンダーに掛からなくなり、安定した燃焼や回転が行えなくなる場合がある。こうした場合には直ちにヘッドガスケットを交換する必要があり、仮にこの状態を放置するとエンジンブローなどの深刻なトラブルを招く恐れがある。 ヘッドガスケットの吹き抜けはオーバーヒートなどによるシリンダーブロックやシリンダーヘッド合わせ面の歪みや、ガスケットその物の損傷によって引き起こされるが、この問題はシリンダーヘッドの材質が鋳鉄製からアルミ合金製に変わったことで更に顕著に現れるようになった。アルミ合金は鋳鉄よりも軽い代わりに鋳鉄よりも遙かに大きな熱膨張性を持っているためである。アルミ合金のシリンダーヘッドの膨張によってヘッドガスケットに強い応力が掛かるためにガスケット本体の破壊などが引き起こされる。ガスケットメーカーはこの問題に対処するべく金属製ガスケットの表面にテフロンなどのコーティングを施すことで対応した。 仮にシリンダーの吹き抜けが起きなかったとしても、ヘッドガスケットの不具合はエンジンに様々な問題を引き起こす。例えばウォータージャケットのシールが不十分となった場合、LLCがシリンダー内部に侵入するトラブルや油穴に入り込んでエンジンオイルが白濁したり、冷却水にオイルが混じるトラブルが発生する。シリンダーに侵入する冷却水が比較的少量の場合には冷却水が徐々に減っていく症状として表れ、オーバーヒートなどの直接のトラブルが発生するまで気が付かれない場合もある。逆にシリンダーに侵入する冷却水が大量であった場合には一気に大量の蒸気がマフラーから噴き出したり、最悪の場合には大量の冷却水でウォーターハンマーを引き起こしてピストンやコンロッドが破壊される場合もある。 コンプレッションゲージなどのシリンダー圧力計による圧縮圧力測定や、高性能なen:leak-down testerによるリークテストによって注意深く調査を行うことで、ヘッドガスケットの状態をおおまかに確かめることが可能である。これはヘッドガスケットを組み付けまたは交換した直後に行うのが、ヘッドガスケットの状態を判断する上で効果的である。また、エンジンオイルに白濁が見られる場合や、冷却系統のリザーバータンク内に油分が混入しているような場合。或いはリザーバータンク内の気体に異常な排ガス臭が見られる場合には、ヘッドガスケットの何らかの異常が発生している可能性がある。
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