ブッシュバックとは? わかりやすく解説

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ブッシュバック属

(ブッシュバック から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/11 02:47 UTC 版)

ブッシュバック属
クーズー Tragelaphus strepsiceros
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: 鯨偶蹄目 Cetartiodactyla
: ウシ科 Bovidae
亜科 : ウシ亜科 Bovinae
: Tragelaphini
: ブッシュバック属 Tragelaphus
学名
Tragelaphus de Blainville, 1816[1]
和名
ブッシュバック属[2]

ブッシュバック属 (Tragelaphus) は、哺乳綱鯨偶蹄目ウシ科に分類される。ウシ科ではウシ亜科に属し、さらにイランド属とともにTragelaphini族に区別されるが、ウシ亜科から分けてブッシュバック亜科に置くこともある。シタツンガクーズーをそれぞれシタツンガ属、クーズー属に分ける場合もある。主にアフリカに生息。

種類

以下の現生種の分類は、Grubb(2005)に従って7種とする[1]。和名は川田ら(2005)に従う[2]

ブッシュバック

ブッシュバック(Tragelaphus scriptus)は体高70cm程度の中型の種で、雄は鬣と20cm前後の角を有する。サハラ以南のアフリカ(セネガルソマリアアンゴラケープなど)の森林や藪に主に生息し、白い縦縞の文様などから様々な亜種に分類されるが、諸説ある。ここでは以下に主な亜種を並べ、和名は今泉(1988)[3]に、英名はJosé(2016)従う[4]

  • T. s. phaleratus カビンダブッシュバック Central bushbuck
  • T. s. makalae マカラブッシュバック
  • T. s. knutsoni カメルーンブッシュバック
  • T. s. bor ナイルブッシュバック Nile bushbuck
  • T. s. decula タナブッシュバック Abyssinian bushbuck
  • T. s. dianae ダイアナブッシュバック
  • T. s. scriptus セネガルブッシュバック
  • T. s. fasciatus ソマリブッシュバック Eastern coastal bushbuck
  • T. s. delamerei ケニアブッシュバック
  • T. s. dama ダマブッシュバック
  • T. s. massaicus マサイブッシュバック
  • T. s. ornatus ザンビアブッシュバック Chobe bushbuck
  • T. s. roualeyni リンポポブッシュバック
  • T. s. sylvaticus ケープブッシュバック Cape bushbuck

ニアラ

ニアラTrgelaphus angasii)はマラウイ、アンゴラなどの沼地に生息している種で、体高120cm、体長150cm前後の中型で、雄は80cmを超える長い角を持つ。茂みの深いところにハーレムを形成して少数頭で生息する。亜種は認められていない。

マウンテンニアラ

マウンテンニアラTrgelaphus buxtoni)はニアラにくらべて体高120cm、体長200cmとかなりの大型種。雄が持つ角も120cmあり、1回から2回ほど捩れている。1908年にエチオピア南部のサハツ山、標高2700mで発見された。乾期になるとさらに高地へ移動し、4200m前後に分布する。ニアラと同じくハーレムを形成する。シダモからハラールにかけての山岳地帯に生息する。亜種は認められていない。

シタツンガ

シタツンガTrgelaphus spekii)はニアラに似た種であるが、硬毛を持ち、雄の有する角は1回から2回捩れている。セネガルエチオピアスーダンタンザニアカメルーンコンゴジンバブエザンビアなどの葦やパピルスなどの茂る沼地に生息する。ハーレムを形成する場合と、1対の場合と両方が確認されており、大きな群れは形成しない。和名は今泉(1988)[3]に、英名はJosé(2016)従う[4]

T. s. gratus ガボンシタツンガ Western Sitatunga

 中部アフリカ赤道以北周辺と一部ガンビア周辺に生息する。白斑は個体差が大きい。後脚が長く猫背に見える。角は1〜2回捻れる[4]

T. s. spekeii ニアンザシタツンガ East African Sitatunga

 南スーダン〜タンザニアに生息する。オスは灰褐色、メスは鮮やかな赤褐色である。蹄が長く、角は半〜1回捻れる[4]

T. s. sylvestris ヌコシシタツンガ Nkosi Island Sitatunga

 ニアンザシタツンガに近い亜種で、ヴィクトリア湖セセ諸島英語版ヌコシ島に生息する。食物が制限されているためか、体と角が小さい[4]

T. s. selousi ザンベジシタツンガ Zambezi Sitatunga

 コンゴ南部からコンゴ民主共和国中央部、ザンビアタンガニーカ湖南端、ナミビアボツワナ北部などの湿地環境に生息する。オスは茶色がかった灰色、メスは濃い褐色。斑点はオスがなく、メスはあっても微か。角は1~1.5回捻れる[4]

クーズー

クーズーTrgelaphus trepsiceros)はヨーロッパに生息するアカシカに似た種で、180cmを超える角を持つ大型種。山地や石の多い藪地などに小さな群れまたはハーレムを形成して生息する。ソマリアエチオピアスーダンケニアコンゴアンゴラなど広域に分布。

レッサークーズー

レッサークーズー(Trgelaphus imberbis)は体つきはクーズーに酷似しているが小型で、雄は80cm程度の角を有する。ソマリアエチオピアタンザニアケニアなどの乾燥地帯に生息する。

ボンゴ

参考文献

  1. ^ a b Peter Grubb, “Order Artiodactyla,” In: Don E. Wilson & DeeAnn M. Reeder (eds.), Mammal Species of the World (3rd ed.), Volume 1, Johns Hopkins University Press, 2005, Pages 637-722.
  2. ^ a b 川田伸一郎・岩佐真宏・福井大・新宅勇太・天野雅男・下稲葉さやか・樽創・姉崎智子・横畑泰志世界哺乳類標準和名目録」『哺乳類科学』第58巻 別冊、日本哺乳類学会、2018年、1-53頁。
  3. ^ a b 今泉吉典 「ブッシュバック亜科の分類」『世界の動物 分類と飼育7 (偶蹄目III)』今泉吉典監修、東京動物園協会、1988年、19-21頁。
  4. ^ a b c d e f José R. Castelló (2016). "BOVIDS of the World Antelopes, Gazelles, Cattle, Goats, Sheep, and Relatives". PRINCETON UNIVERSITY PRESS PRINCETON AND OXFORD. pp. 572-577 

ブッシュバック

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2011/12/17 14:51 UTC 版)

ブッシュバック属」の記事における「ブッシュバック」の解説

ブッシュバックは体高70cm程度中型の種で、雄は鬣と20cm前後の角を有するサハラ以南のアフリカセネガルソマリアアンゴラケープなど)の森林に主に生息し、白い縦縞文様などから以下の28亜種認められている。 カビンダブッシュバック カビンダからコンゴ川近辺生息する種で、ブッシュバックのうち、もっとも原始的な種と考えられている。 マカラブッシュバック マカラ付近に分布するブッシュバックで、鮮明な横縞特徴的な種。 カメルーンブッシュバック カメルーン南部生息。鬣が他種比べて長く明瞭な白い縦縞を持つ。 ナイルブッシュバック スーダン南部ウガンダ北部などに生息タナブッシュバック 横縞持たない種で、エチオピア北部タナ湖アトバラ川近辺分布するダイアナブッシュバック 鬣に白毛を持つ種で、タンガニーカ湖沿岸生息するセネガルブッシュバック セネガル生息する種で、腿に多数白点を持つ。 ソマリブッシュバック ソマリア生息する種で、4本から5本の白い横縞を持つ。 ケニアブッシュバック 身体斑紋が無い種で、ケニア中部および北部生息するダマブッシュバック ケニア西南ビクトリア湖東部分布し白点並んだ縦縞を持つ。 マサイブッシュバック タンザニア分布する種で白い縦縞持たないザンビアブッシュバック 6本から8本の横縞を持つ種で、アンゴラザンビアボツワナジンバブエなど広域分布している。 リンポポブッシュバック 腿に多数白点を持つ種で、リンポポ川流域生息している。 ケープブッシュバック ナミビア南アフリカ共和国分布しており、斑紋持たない種。

※この「ブッシュバック」の解説は、「ブッシュバック属」の解説の一部です。
「ブッシュバック」を含む「ブッシュバック属」の記事については、「ブッシュバック属」の概要を参照ください。

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