フォワード・レーシングとは? わかりやすく解説

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フォワード・レーシング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/26 05:18 UTC 版)

フォワード・レーシング
2024年
チーム名
クリント・フォワード・ファクトリー・チーム (Moto2, MotoE, WorldWCR)
本拠地 アグノ, スイス
代表 ジョヴァンニ・クザリ
ライダー Moto2:
17. アレックス・エスクリチ
42. ハビエル・アルティガス
MotoE:
6. マリア・エレーラ
9. アンドレア・マントヴァーニ
WorldWCR:
6. マリア・エレーラ
マシン Moto2:MVアグスタ
MotoE:ドゥカティ・V21L
WorldWCR:ヤマハ・YZF-R7
タイヤ Moto2 - ピレリ
MotoE - ミシュラン
WorldWCR - ピレリ
ライダーズ
チャンピオン
-

フォワード・レーシング (Forward Racing) は、スイスを拠点とするレーシングチーム。Moto2をメインに活動している。

歴史

チームはハヤテ・レーシングチームとして2009年からMotoGPクラスでの活動を始める。これはカワサキのファクトリーチームが2008年秋のリーマン・ショックに端を発する世界同時不況の影響によりMotoGPより撤退し、そのスタッフが再結集して規模を縮小したチームであった[1]。マシンはカワサキ・ニンジャZX-RRを使用し、マルコ・メランドリの一台体制で参戦する。

カワサキは2009年3月にマシンの新しいパーツを開発するのを停止した。これは、2009年シーズンの残りにおいてカワサキがマシン開発やメンテナンスに関与するのは非常に限られた物になるのを意味した[2]。こういった状況にもかかわらず、メランドリは5月に行われたフランスGPにおいて顕著な成績を達成している[3]

2010年シーズン、チームはフォワード・レーシングとしてMoto2クラスに参戦した。ライダーはジュール・クルーセルクラウディオ・コルティが起用され、マシンはスッター・MMXを採用した。クルーセルはイギリスGPで優勝し、ランキング7位となった。コルティも同GPでポールポジションを獲得したが、彼のベストリザルトはミザノにおける9位であった。2011年シーズンはクルーセルとアレックス・バルドリーニを起用したが、バルドリーニは後にラファエレ・デ・ロサと交代した。最高成績はイギリスGPにおけるクルーセルの4位であった。

チームは2012年シーズン、MotoGPクラスに復帰、コーリン・エドワーズを起用してクレーミング・ルール・チームとして参戦する[4]。マシンはスッター製のシャシーにBMW製エンジンを搭載したスッター・MMXIであった[5]

Moto2クラスではアレックス・デ・アンジェリス高橋裕紀を起用した[6][7]。マシンは開幕戦からスッターを使用したが、第6戦からFTRへスイッチした。マシンの変更後マレーシアGPでデ・アンジェリスが優勝している。

2013年シーズン、チームはMotoGPクラスの体制を拡大、2台体制となりエドワーズに加えてクラウディオ・コルティを起用し、カワサキ製エンジンを搭載したFTR製マシンで参加した。Moto2クラスではシモーネ・コルシマティア・パシーニアレックス・デ・アンジェリスリカルド・カルダスの4名を起用、スピードアップ製のマシンを採用した。

2014年シーズン、チームはコーリン・エドワーズとアレイシ・エスパルガロを起用しMotoGPクラスのオープンカテゴリーに参戦した。マシンはヤマハが供給したYZR-M1のエンジンをFTR製のフレームに搭載した物を使用する予定でいたが、シーズンが始まるとヤマハからYZR-M1のエンジン-フレーム-スイングアームのパッケージの供給を受け[8]、残りの部分にFTR製のパーツを使用したマシンを投入することとなった。第5戦のイタリアGPからエドワーズはハリス・パフォーマンス製の新フレームを使用する[9]。エスパルガロはヤマハ製のフレームを継続して使用したが、オランダGPでポールポジションを獲得、アラゴンGPでは2位に入賞し、ランキング7位でシーズンを終えた。

Moto2クラスでは再び2台体制となり、パシーニとコルシを起用した。チームは2013年スペックのカレックスフレームを自身で改良し、フォワード・KLXとして投入した[10]。第5戦でチームはカレックス製のマシンにチェンジする[11]。新フレームのマシンでコルシは表彰台に2度上ったが、シルバーストンでクラッシュしてシーズンを終えた。負傷したコルシに代わってスーパースポーツ世界選手権チャンピオンのフローリアン・マリノが起用された。

2015年シーズン、チームはヤマハとのパートナーシップを更新し、2台のYZR-M1のエンジン-フレーム-スイングアームのパッケージ供給を受け、自社製シャシー開発プロジェクトを断念した[12]

2023年まではMVアグスタ陣営のチームとしてMoto2クラスのみ参戦していたが、2024年にはMotoEクラスにも積極的に活動している[13]

GP戦績

クラス チーム名 車両 ライダー 出走数 勝利数 表彰台数 PP FL ポイント 順位
2009年 MotoGP ハヤテ・レーシングチーム カワサキ・ZX-RR マルコ・メランドリ 17 0 1 0 0 108 10位
2010年 Moto2 フォワード・レーシング スッター・MMX ジュール・クルーセル 17 1 2 0 1 106 7位
クラウディオ・コルティ 17 0 0 1 0 20 25位
フェルッチオ・ランボルギーニ[注釈 1] 1 (5) 0 0 0 0 0 NC
2011年 Moto2 NGM フォワード・レーシング スッター・MMXI ジュール・クルーセル 17 0 0 0 0 41 21位
アレックス・バルドリーニ[注釈 2] 10 (14) 0 0 0 0 18 27位
ラファエレ・デ・ロサ[注釈 2] 7 (13) 0 0 0 0 0 NC
2012年 MotoGP NGM モバイル・フォワード・レーシング スッター・MMX1 コーリン・エドワーズ 17 0 0 0 0 27 20位
クリス・バーミューレン[注釈 3] 1 0 0 0 0 0 NC
Moto2 NGM モバイル・フォワード・レーシング スッター・MMXII

FTR Moto M212

アレックス・デ・アンジェリス 16 1 2 0 1 86 10位
高橋裕紀 17 0 0 0 0 2 30位
マティア・パシーニ[注釈 4] 1 0 0 0 0 0 NC
2013年 MotoGP NGM モバイル・フォワード・レーシング FTR-カワサキ コーリン・エドワーズ 18 0 0 0 0 41 14位
クラウディオ・コルティ 18 0 0 0 0 14 19位
Moto2 NGM モバイル・レーシング スピードアップ・SF13 シモーネ・コルシ 17 0 1 0 0 108 11位
マティア・パシーニ 17 0 0 0 0 58 15位
NGM モバイル・フォワード・レーシング アレックス・デ・アンジェリス 17 0 0 0 0 81 14位
リカルド・カルダス 17 0 0 0 0 9 23位
2014年 MotoGP NGM フォワード・レーシング フォワード-ヤマハ アレイシ・エスパルガロ 18 0 1 1 0 126 7位
コーリン・エドワーズ 10 0 0 0 0 11 22位
アレックス・デ・アンジェリス[注釈 5] 8 0 0 0 0 14 21位
Moto2 NGM フォワード・レーシング フォワード・KLX
カレックス・Moto2
シモーネ・コルシ 12 0 2 0 0 100 7位
マティア・パシーニ 18 0 0 0 0 35 21位
フローリアン・マリノ[注釈 6] 6 0 0 0 0 0 NC
脚註
  1. ^ ランボルギーニはサンマリノGPにワイルドカード枠で出走した。
  2. ^ a b バルドリーニは前半10戦に出走し、デ・ロサと交代した。両名ともシーズンの残りを他チームから出走した。
  3. ^ バーミューレンはフランスGPでエドワーズの代役として出走した。
  4. ^ パシーニはバレンシアGPでデ・アンジェリスの代役として出走した。
  5. ^ デ・アンジェリスはチェコGPからエドワーズの代役として出走した。
  6. ^ マリノはサンマリノGPからコルシの代役として出走した。

MotoGP

(key)

車両 タイヤ ライダー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 ポイント 順位
2009年 カワサキ・ZX-RR B QAT JPN SPA FRA ITA CAT NED USA GER GBR CZE IND RSM POR AUS MAL VAL 108 7位
マルコ・メランドリ 14 6 5 2 11 14 11 10 7 7 Ret Ret 8 12 7 8 17
2012年 スッター・MMX1 B QAT SPA POR FRA CAT GBR NED GER ITA USA IND CZE RSM ARA JPN MAL AUS VAL 27 13位
コーリン・エドワーズ 12 16 DNS NC 16 Ret 12 Ret 13 13 13 11 18 13 Ret Ret 14
クリス・バーミューレン 17
2013年 FTR-カワサキ MGP13 B QAT AME SPA FRA ITA CAT NED GER USA IND CZE GBR RSM ARA MAL AUS JPN VAL 55 9位
コーリン・エドワーズ Ret Ret 15 16 14 9 17 13 12 13 11 14 12 16 15 12 12 15
クラウディオ・コルティ 16 19 17 Ret Ret 12 18 15 Ret 14 Ret 17 16 15 13 17 20 13
2014年 フォワード-ヤマハ B QAT AME ARG SPA FRA ITA CAT NED GER IND CZE GBR RSM ARA JPN AUS MAL VAL 151 7位
コーリン・エドワーズ 9 Ret 20 Ret 17 15 18 22 20 13
アレイシ・エスパルガロ 4 9 15 7 9 9 6 4 6 Ret 8 9 Ret 2 11 Ret Ret 7
アレックス・デ・アンジェリス 16 15 14 12 17 9 Ret 18

参照

  1. ^ “Kawasaki statement in full”. crash.net (Crash Media Group). (9 January 2009). http://www.crash.net/motogp/news/81744/1/kawasaki_statement_in_full.html 21 November 2011閲覧。 
  2. ^ “Marco Melandri: I will race the Hayate”. crash.net (Crash Media Group). (12 March 2009). http://www.crash.net/motogp/news/143925/1/marco_melandri_i_will_race_the_hayate.html 21 November 2011閲覧。 
  3. ^ “Lorenzo takes dramatic victory at wet-dry Le Mans”. motogp.com (Dorna Sports). (17 May 2009). http://www.motogp.com/en/news/2009/france+le+mans+motogp+race+lorenzo 21 November 2011閲覧。 
  4. ^ “Colin Edwards confirms he will leave Tech 3 team at end of the season”. BBC Sport (BBC). (2 September 2011). http://news.bbc.co.uk/sport1/hi/motogp/14769419.stm 2 September 2011閲覧。 
  5. ^ Birt, Matthew (20 October 2011). “Colin Edwards to ride Suter/BMW in 2012”. Motor Cycle News (Bauer Media Group). http://www.motorcyclenews.com/MCN/sport/sportresults/MotoGP/2011/October/oct2011-colin-edwards-ride-suter-bmw-2012/ 20 October 2011閲覧。 
  6. ^ “de Angelis to NGM Forward for Moto2”. crash.net (Crash Media Group). (5 November 2011). http://www.crash.net/motogp/news/174636/1/de_angelis_to_ngm_forward_for_moto2.html 5 November 2011閲覧。 
  7. ^ “Moto2: Takahashi goes Forward for 2012”. crash.net (Crash Media Group). (18 November 2011). http://www.crash.net/motogp/news/175004/1/moto2_takahashi_goes_forward_for_2012.html 21 November 2011閲覧。 
  8. ^ “Qatar MotoGP: Espargaro sticking with Yamaha frame”. Crash.net (Crash Media Group). (20 March 2014). http://www.crash.net/motogp/news/201293/1/espargaro-sticking-with-yamaha-frame.html/ 22 September 2014閲覧。 
  9. ^ “Forward Racing to use new MotoGP chassis at Mugello”. Motomatters.com. (22 May 2014). http://motomatters.com/news/2014/05/22/forward_to_use_new_motogp_chassis_at_mug.html/ 22 September 2014閲覧。 
  10. ^ “Moto2: Forward announces new 'KLX' chassis project”. Crash.net (Crash Media Group). (13 February 2014). http://www.crash.net/motogp/news/200269/1/moto2-forward-announces-new-klx-chassis-project.html 12 November 2014閲覧。 
  11. ^ “Le Mans Moto2: Forward announces official Kalex deal”. Crash.net (Crash Media Group). (15 May 2014). http://www.crash.net/motogp/news/204493/1/moto2-forward-announces-official-kalex-deal.html 12 November 2014閲覧。 
  12. ^ Birt, Matthew (15 January 2015). “Forward Racing abandons chassis project”. Motor Cycle News (Bauer Consumer Media). http://www.motorcyclenews.com/sport/motogp/2015/january/forward-racing-abandons-chassis-project/ 22 January 2015閲覧。 
  13. ^ Forward Racing debutta nel MotoE World Championship 2024” [Forward Racing debuts in the 2024 MotoE World Championship] (イタリア語). epaddock.it (23 December 2023). 17 July 2024閲覧。

外部リンク


フォワード・レーシング (2010年)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/23 16:10 UTC 版)

カワサキ・モータース・レーシング」の記事における「フォワード・レーシング (2010年)」の解説

詳細は「フォワード・レーシング」を参照 2009年をもってカワサキマシンでのMotoGPクラスへ参戦終了したが、ハヤテ・レーシング活動継続し、アンドレア・ドソリを代表にフォワード・レーシングと名前を変え2010年から始まったMoto2クラス参戦開始したシャシーは元グランプリライダーのエスキル・スッター率いスッター・レーシング・テクノロジー(SRT)のものを使用するSRT2004年から2006年にかけて、ZX-RRのシャシーデザイン・開発請け負った経験があるという、カワサキとは縁のある会社である。ジュール・クルーセルが、2010年イギリスGPチーム初優勝もたらした。なお、一部チームスタッフカワサキレーシングチームから引き継いではいるものの、カワサキとの関係は全くなくなっている。2012年moto2クラス加えてレギュレーション改定によって制定されCRTレギュレーション使用してmotoGPクラスへコーリン・エドワーズ擁し、スッターのシャーシ使用し参戦した。翌2013年からシャーシをスッターからカワサキ用に開発されFTR製の物に変更し、これによって2009年ハヤテ・レーシング以来となるカワサキエンジンによるトップカテゴリー参戦を果たすこととなった

※この「フォワード・レーシング (2010年)」の解説は、「カワサキ・モータース・レーシング」の解説の一部です。
「フォワード・レーシング (2010年)」を含む「カワサキ・モータース・レーシング」の記事については、「カワサキ・モータース・レーシング」の概要を参照ください。

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