フォワード測度とは? わかりやすく解説

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フォワード測度

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/11/14 09:19 UTC 版)

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フォワード測度(フォワードそくど、: forward measure)とは、数理ファイナンスにおいて、リスク中立測度絶対連続である価格付けの測度である。しかし、ニュメレール英語版としてマネーマーケットアカウントを使わず、満期が T である債券が用いられている(特に満期を明示して T–フォワード測度と言う事も多い)。フォワード測度の利用はファルシド・ジャムシディアン英語版により1987年に始められ、債券オプション英語版の価格計算の方法として用いられている[1]

数学的定義

以下の記述はMusiela and Rutkowski & (2004)に基づく。

まずニュメレールとしての銀行口座、もしくはマネーマーケットアカウントを以下のように定義する。

更に時点0から満期 T までの割引ファクターを以下のように定義する。

もし がリスク中立測度ならば、フォワード測度 ラドン–ニコディム微分として以下のように与えられる。

上の式は利子率が非確率的ならばフォワード測度とリスク中立測度は一致することを意味している。また、ニュメレールを銀行口座もしくはマネーマーケットアカウント B(t) から満期 T の債券 P(t,T) に変えた際のニュメレール変換公式の一つでもある。実際、時点 t における満期 T のゼロクーポン債価格が

と書けるならば( は時点 t における市場の情報を表すフィルトレーションである)、

と書ける。この式より、T–フォワード測度はニュメレール英語版としての満期 T のゼロクーポン債と関連していることが明確になる。 より詳細な議論についてはBrigo and Mercurio & (2006)を参照せよ。

結果

"フォワード測度"の名前は、フォワード測度の下で先渡価格英語版マルチンゲールとなることに由来している。この事実は、フォワード測度を正式に定義したとされる、German & (1989) によって最初に見出された[2]。リスク中立測度の下でマルチンゲールとなる先物価格と比べると、利子率が非確率的であるならば、フォワード測度は先渡価格と先物価格は一致する事を意味している。

例えば、割引株式価格はリスク中立測度の下でマルチンゲールである。

先渡価格は で与えられる。よって が得られる。ラドン–ニコディム微分 と等式 を用いれば

となる。最後の項は債券価格の定義より1と等しいので以下が得られる。

参考文献

  1. ^ Jamshidian, Farshid (1989), “An Exact Bond Option Pricing Formula”, The Journal of Finance 44 (1): 205–209, doi:10.1111/j.1540-6261.1989.tb02413.x, JSTOR 2328284, http://jstor.org/stable/2328284 
  2. ^ Geman, Helyette, “The Importance of Forward Neutral Probability in a Stochastic Approach of Interest Rates”, Working paper, ESSEC 
  • Brigo, Damiano; Mercurio, Fabio (2006), Interest Rate Models — Theory and Practice with Smile, Inflation and Credit (2 ed.), Springer Verlag, ISBN 978-3-540-22149-4 
  • Musiela, Marek; Rutkowski, Marek (2004), Martingale Methods in Financial Modelling (2 ed.), New York: Springer-Verlag, doi:10.1007/b137866, ISBN 978-3-540-20966-9 

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