フォローアップ観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/26 06:35 UTC 版)
トランジット惑星の発見率は、トランジットが惑星によるものであることを検証するために必要な、地上からの追跡観測 (フォローアップ観測) の必要性によって決まる。トランジット候補は COROT の全ての観測対象のおよそ 2.3% で検出されるものの、周期的なトランジットを検出するだけでは惑星の発見を主張するには不十分である。これは食連星や、観測対象星に非常に近く光が光度曲線に混じっている暗い恒星が起こす食などによってもトランジット状の現象が発生し、トランジット惑星と誤認させる可能性があるためである。誤検出を取り除くための最初のスクリーニングは光度曲線において実行され、暗い恒星の二次食の兆候や、恒星の食であることを示唆するV字状の光度曲線が調査される。観測対象の恒星が明るい場合は、系外惑星検出用の CCD の前に設置されたプリズムによる3つの異なる色での測光データが得られ、連星の食の場合に典型的に見られる3つの色での異なるトランジット深さを示すものは惑星候補から除外される。これらの検証によって検出された候補のうち 83% を除外することができる。残りの 17% は、世界中の望遠鏡の観測網による測光と視線速度測定のフォローアップ観測によってスクリーニングされる。 観測対象星の近くにある食連星が光度曲線に混入している可能性を排除するための測光観測はいくつかの 1 m 級の望遠鏡で行われるが、カール・シュヴァルツシルト天文台(英語版)の 2 m 望遠鏡や、ハワイの 3.6 m カナダ・フランス・ハワイ望遠鏡も用いられる。視線速度のフォローアップ観測では、連星系や多重星系である可能性を排除し、また十分な観測が行われた場合、発見された系外惑星の質量を測定することができる。視線速度観測には、オート=プロヴァンス天文台の SOPHIE、ラ・シヤ天文台の HARPS、W・M・ケック天文台の HIRES といった高精度の分光器が用いられる。惑星によるトランジットであることが確立された場合、恒星のパラメータを正確に決定するために高分散分光観測が行われ、そこからさらに系外惑星の特徴を導出することができる。このような観測は、VLT の UVES や HIRES といった大口径の望遠鏡を用いて行われる。 興味深いトランジット惑星はスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて赤外線でのさらなるフォローアップ観測が行われる場合がある。この観測では、異なる波長での独立した惑星の存在確認を行い、また惑星からの反射光を検出したり大気組成を検出したりできる可能性がある。例として、CoRoT-7b と CoRoT-9b はスピッツァー宇宙望遠鏡による観測が行われている。 COROT での各観測期間における惑星候補のフォローアップ観測の結果をまとめた論文が既に複数出版されている。例えば、IRa01、LRc01、LRa01、SRc01 での結果が出版済みである。観測対象星の特性によっては、惑星候補の性質やその質量を明確に決定することが出来ないこともある。例えば恒星が暗い場合、自転速度が速かったり恒星の活動が強い場合などである。
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