フィールドサインによる方法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2012/08/22 13:37 UTC 版)
「個体数推定」の記事における「フィールドサインによる方法」の解説
個体を捕獲できない場合、上記のような方法は取れなくなる。視認できるならばコドラート法が使えるし、何らかのサインを探して個体識別を行うことができる。しかし、捕獲どころか視認すら難しい動物もある。たとえば哺乳類の多くは人目を避ける行動をとり、個体そのものを視認することが難しい。その場合、その動物の残すフィールドサインを利用する方法もある。 森下正明と村上興正は森林内に生息するニホンカモシカの個体数推定に糞塊を利用する糞塊法を開発した。糞調査によるニホンカモシカの密度推定の論文で発表された。個体数に比例して環境に加わるが、また時間に比例してある消失率で分解されて環境から消えていくと考えられ、この両者を考慮して環境中に存在する糞塊数の変化を微分方程式で表すことができる。加入と消失が平衡状態になっていると仮定することである瞬間に環境に存在する糞塊の量を示すことができ、個体あたりの糞の排出量を飼育実験によって、また糞塊の平均寿命を実験的に求め、さらに糞塊の発見率を小地域の精査によって求めれば、調査地域全体から見出された糞塊数のデータより個体数を推定する数式が得られる。 樹上で葉を食べるチョウやガ、ハバチの幼虫に関しては、一定面積に落下する糞の量と飼育データによる個体あたりの排泄量を計測することによって、より簡単な数式で個体数推定を行える。 同様に、糞だけではなく雪の上に残される足跡を使っても、個体数推定を行うことができ、ウサギの個体数をこれで推定した研究がある。 古典的な統計的推計方法とは少々異なるが、フィールドサインから生化学的に個体識別を行い、それに基づいて個体数を推定することもできる。シカの死体の周囲に鉄条網を設置し、そこに残されたヒグマの毛から遺伝子情報を読み取り、個体識別を行うことで同じ餌場に現れるクマの個体数を求めている例がある。
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