ビジネス・軍服関係の外套
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/02 20:48 UTC 版)
ブリティッシュウォーマー(ブリティッシュウォーム、グレートコート) 第一次世界大戦のイギリス陸海軍の士官の軍服に使用された厚手ウール素材の防寒コートで、その後は一般に普及した。アルスターコート、ポロコートの一種。前袷はダブル仕立てで、勲章付きの軍礼装の上に羽織る前提で容積を大きめに作ることが多い。膝丈か少し短めの丈で、インバーテッドプリーツは馬に乗ることを想定したボタン留めで、肩章が付いているのが特徴。 タイロケン(タイロッケン) もともと英国バーバリー社の19世紀末頃のオリジナル・デザインで、冬季軍装として多く用いられた。 フロントボタンがなく、タイでロックするすなわち帯で固定するという名称由来の通り、ウエスト全周を共素材のベルトのみで絞って留めるガウンのような構造。ベルトはバックル付きで、コートの後ろ中心部と、前脇部分に留めつけられている。シングルフロントながらダブルフロントに見えるほど前袷が深い。綿やウールのギャバジンでつくられることが多い。 トレンチコート 防水素材製の肩章付ダブル前のベルト付きコート。前述のブリティッシュウォーマー、タイロッケンコートを原型として、ラグランスリーブ、ガンパッチ、エポーレット、手榴弾携行用Dリングなどを追加した軍用機能性外套。トレンチの名称は英国軍が第一次世界大戦時の塹壕戦で着用されたのが由来。バーバリーが発明した目の詰まったゴム引きコットンギャバジンなどの、汚れにくく雨風を通しにくい素材で作られることが多く、戦後は一般市民に広がった。 ステンカラーコート(バルマカーンコート、バルカラーコート) 飾りがないシンプルな外套。日本ではステン・カラーと称される、後ろ衿腰が高く、前のあき止まりが少し低く衿先が四角い形状をした衿の付いたコート。「バルマカーン」はスコットランドの地方名に由来しており、「バルカラー」は「バルマカーンカラー」の略である。日本には20世紀半ばにアイヴィールックのアイテムの一つとして紹介され、以来、ビジネススタイル向けコートの定番として定着した。 ラグラン袖使いが一般的だが、ラグランは撫で肩を強調するシルエットになるため近年では、セットインスリーブ式のややスクウェアなシルエットのものも増えている。腰や袖のベルトが付属しているものもある。 スプリングコート 春用の薄手のコート、トレンチコートから変化した。軽い防寒性とほこり除けを兼ねたもので、合成繊維や混紡素材、薄手ウールなどでつくられる。和製英語で、ほぼ英語のトップコート (topcoat)に対応する。 マッキノーコート 厚手ウール製で、Pコートに似た形をした丈の短いコート。普通ダブル前で、大きなショールカラーやノッチドカラーがつき、派手目の大きな格子柄が特徴。オリーブ色やカーキが多い。腰や袖のベルトが付属しているものもある。植民地時代の交易地であったアメリカ・ミシガン州のマッキノーに集まるインディアンが好んだ素材であったことが由来。
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