バルチ・ハウス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/05 00:29 UTC 版)
バルチ料理のレストランは、バーミンガムでは「バルチ・ハウス」の名で知られていることが多い。バルチ・ハウスは、手軽に安上がりな食事が出来る場所として定着している。これはひとつには、バルチ・ハウスが普通は酒類販売免許を持たず、アルコールを提供しないためであるが、酒類を飲みたい客は自分で持ち込むのが一般的になっている。典型的なバーミンガムのバルチ・ハウスは内装も伝統的に簡素なものであり、初期のバルチ・ハウスは[要出典]、テーブルクロスの代わりに新聞紙を用いていたという。食卓の上にガラス板を敷いて、その下にメニューを敷いていることもある。バルチ・ハウスでは、しばしばとても大きな「カラック(karak)ナン」が食卓に出されるが、これはその食卓にいる全員で取り分けるためのものである。 バーミンガムでは、バルチ・ハウスは、元々インナーシティの Sparkhill から、南側に3kmほど離れた Moseley までの範囲で、表通りではなく裏通りに集まっていた。この Ladypool Road、Stoney Lane、Stratford Roadで囲まれる一角は、「バルチ・トライアングル (Balti Triangle)」と呼ばれ、バーミンガムで最も早い時期から営業しているものを含め、数多くのバルチ・ハウスが集まっている。2005年7月28日のバーミンガム竜巻(Birmingham Tornado)は、この三角地帯の建物に大きな被害を与え、多くのレストランが閉店に追い込まれたが、後片付けを経て、2006年はじめには多くの店が営業を再開した。 その後、バルチ・レストランは三角地帯を超えて広がり、南方の Pershore Road 沿いに集積が出来ている。バーミンガム西郊のスタウアブリッジ(Stourbridge)に近いライ(Lye)では、目抜き通りの High Street に沿って十数軒のレストランが立ち並び、「バルチ・マイル」として知られるようになっている。 バルチ料理や、その盛りつけ方は1980年代に大いに人気が出て、その勢いは1990年代も続いた。バルチ・レストランはウェスト・ミッドランズ州の各地に広がるようになり、さらにイギリスの各地にも広まっていった。イギリスにおけるカレー市場は拡大し、近年では年間40億ポンドの価値があるともいわれているが、今なお、ウェスト・ミッドランズ州外で「正しい」バルチを食べることは出来ないと主張する人々もいる。 イギリス国外では、アイルランドや、カナダ、オーストラリアなどの英語圏諸国に、少数のバルチ・ハウスが存在している。 1990年代後半から、イギリスのスーパーマーケットは、調理済みバルチ料理のバッレージの品数を増やすようになり、バルチ・レストランは小売店との厳しい競争にもさらされるようになった上、顧客の好みの変化や、他のインド料理レストランとの競争にも直面することになっている。
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