ドリフト走行へ入る方法の例
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 23:37 UTC 版)
「ドリフト走行」の記事における「ドリフト走行へ入る方法の例」の解説
ドリフト走行を行うためには、ステアリング、アクセル、ブレーキ、サイドブレーキ、クラッチを適切に操作してタイヤを滑らせ、タイヤのグリップを意図的にコントロールする技術が必要となる。 慣性ドリフト 限界速度でコーナーに進入することにより、ステアリング操作のみでドリフトさせる場合にこう呼ばれる。コーナー進入時のフロント荷重により、前輪と後輪のドリフトのバランスをコントロールする。日本語で解釈すると「慣性ドリフト」は慣性を使ったドリフトという意味になるが、ここで使われている「慣性ドリフト」という言葉は単純にこの手法を示す意味である。また、この手法を含み全てのドリフト走行は慣性を利用している。 フェイントモーション コーナー進入時に、一旦旋回方向とは逆にステアリングを切る行為。これによりオーバーステアを意図的に誘発してドリフトを起こす。ステアリングをアウト側に切ったのちイン側に切ると、サスペンションの戻る力と遠心力が合わさってイン側にロールしていた車体が一気にアウト側へロールする。同時にヨー方向の慣性力が生まれ、車体は急激にコーナーのインにノーズを向ける挙動を示す。ラリーで多用され、「ラリークイック」「スカンジナビアン・フリック」とも呼ばれる。漫画『サーキットの狼』では「逆ドリフト」という表現が用いられていた。 ブレーキングドリフト ブレーキングによる荷重移動で後輪荷重が小さくなっているときにステアリング操作をすることで、グリップ力の低下した後輪をスライドさせてドリフトを起こす。荷重移動だけでなく、リアブレーキやエンジンブレーキも重要である。 パワースライド 後輪駆動車において、旋回している状態でアクセルを急激に踏み込み空回りを起こし、後輪をスライドさせてドリフトを起こす。ドリフトの距離と角度を付けるには、限界速度を超えてコーナーに進入し、前輪をドリフトさせた状態で、アクセルを踏み込み後輪をドリフトさせる必要がある。DCT搭載車や任意変速機能付きのAT車等のクラッチペダルの無い自動車でよく用いられる方法である。 クラッチキック(クラッチ蹴り) コーナーへの進入時、または旋回している状態でアクセルを踏んだままクラッチをすばやく蹴飛ばす。そうすることによりエンジン回転数を急激に上昇させた直後に瞬間的に動力を繋ぐことで、トルクの小さい車でもパワースライドを発生させたり、ドリフトの状態を維持させることができる。クラッチを蹴飛ばすように操作することからこう呼ばれている。AT車であっても、いったんニュートラルにしてエンジン回転数を上げた後にドライブに切り替えることで同様のことが可能である。ドリフト走行へのきっかけ作りとは異なるものの、この技術の応用でドリフト中に半クラッチ状態までクラッチを踏み、その後足を離してクラッチを繋ぐことをすばやく繰り返すことで、ドリフト中にパワーバンドをキープする技法(クラッチを揉むと称される)がある。 サイドブレーキドリフト 旋回している状態で一瞬、あるいは短時間パーキングブレーキ(サイドブレーキ)をかけ、後輪を一時的にロックさせることでドリフトを起こす。ただし、それだけではドリフトが続かないため通常サイドブレーキを引いた状態でアクセルをあおり回転をあげた後、サイドブレーキを下すのと同時にクラッチ蹴りでドリフト状態に入る。サイドブレーキはクラッチ蹴りのきっかけとして利用する場合が多い。 シフトロック FR車において、旋回している状態でシフトダウンし、エンジン回転数を上げずにクラッチを戻すことで後輪に強いエンジンブレーキを起こし、サイドターンと似た状態を作りドリフトを起こす。
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