ドアスペース上のつり革
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 01:43 UTC 版)
通勤形電車においては、ドアスペース上のつり革をどのように設置するかがしばしば課題になる。というのは、つり革を設置した場合、混雑時にはつり革を持つ乗客が壁になり、スムーズな乗降を妨げる可能性があるためである。国鉄・JRはこの点について長らく「邪魔になるつり革を極力設置しない」という方針をとっていた。国鉄時代、72系以前の電車ではつり革の代わりに出入り口広場の中央につかみ棒(スタンションポール)を設置し、101系や103系では進行方向と平行(レール方向)にはつり革を設けず、それを横切る形(枕木方向)で高い位置につり革を取り付けていた。その後の形式ではドアスペースのつり革自体を設置していないものもある。しかし、走行時につかまるところが何もないことを不安視する意見が増え、後に改造して高めのつり革を取り付けている。 JR九州の813系の一部車両や817系では、ドアスペース上のつり革を円形に配置することで混雑の緩和を試みている。 他の大手私鉄などでは、出入りする際に頭に当たらないよう、高めのつり革を進行方向と平行に設置している例が多い。京阪電気鉄道では「持たないときはバネで跳ね上がる吊り手」をドアスペースに設置した形式がある。これはリコ式とストラップ式を組み合わせたもので、腕の付け根に組み込まれたコイルばねをねじり方向に使うことで跳ね上げ力を得ている。手で引き下げることで通常の吊り手と同じ高さとなるため、取り付け位置が高いだけのつり革に比べると、乗降の邪魔にならない点は同じでも、持つのは楽になる。ただし利用者の身長が低い場合は届かない(使えない)という短所もある。このつり革は京阪が特許を取ったため、基本的に同社でしか見られないものであり、他社では一時期京阪線に乗り入れていた近鉄820系電車での試用(のち撤去)にとどまっている。なお、2000年代以降は普通の短いつり革に変更されつつある。
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