デブリ観測
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/08 03:15 UTC 版)
「ケスラーシンドローム」の記事における「デブリ観測」の解説
すべての高度において、あらゆる大きさのデブリを観測することは不可能なので、現状のデブリ環境はシミュレーションを用いて計算される。そのため、デブリを観測すること自体が、デブリ環境のシミュレーションに対する検証になる。 1995年、エアロスペース・コーポレーションのM.J.メシシュネクが記した報告書の中で、1991年のケスラーの論文に対して批判を行っている。報告書の中で、ケスラーのモデルの欠点として、以下のものを挙げている。 デブリが円軌道を回ることを仮定している。実際は楕円軌道 速度の分布関数が不自然 太陽の周期活動による大気抵抗の変化を考慮していない 以上の考察と、長期暴露装置(LDEF; Long Duration Exposure Facility)によるデブリの衝突頻度を調べた実験結果と比較して、衝突の方向依存性が正しく表されていないと評価している。一方で長期間の平均的な振る舞いは適当であると評価しており、ケスラーシンドロームの存在は否定していない。 1997年、欧州宇宙機関のR.ジェーンとその共同研究者のA.ナザレンコ、C.イーリンガー、R.ウォルカーは、欧州宇宙機関で開発された MASTER、NASA で開発された ORDEM96、同じく NASA で開発された EVOLVE、イギリス国防研究所で開発された IDES 1996、イタリア学術会議で開発された SDM/STAT、もともとドイツのブラウンシュヴァイク工科大学で開発された CHAIN を拡張した CHAINEE のそれぞれのデブリ計算モデルを用いて、その性能を比較した。具体的には1997年1月1日まで 1 cm のデブリ数を予測させ、その値とヘイスタックのレーダーを用いて 1 cm のデブリの流量を調べ、その値を比較した。結果的に ORDEM96 がもっとも良い成績を残したが、これはプログラムの違いよりも初期値の違いによるものが大きかった。
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