独自解析技術
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 09:30 UTC 版)
観測で得られた画像は「重ね合わせ法」と「線分解析技術」を用いた独自のアルゴリズムによって解析される。恒星や星雲などの天体は移動することがないため、画像の中で常に同じ位置に写っていることを利用し長時間かけて撮影した何十枚もの画像を重ね合わせることで、背景のノイズが減少しノイズに埋もれていた微光の天体が浮かび上がっていく。しかし小惑星やスペースデブリといった天体は時間がたつとともに夜空の中を日周運動とは別の固有の動きで移動することにより、通常の方法では重ね合わせることができないため1枚撮りの画像同士で移動している光点を検出するという手法で発見される。そのため恒星などに比べ移動天体の検出限界は悪い。 そこで入笠山光学観測所ではあらかじめ予想した移動天体の移動の仕方に合わせて、時間をかけて撮影した複数の画像を徐々にずらして重ねることで、微光の移動天体を浮かび上がらせるという重ね合わせ法による画像解析を行っている。 逆に静止衛星軌道上のスペースデブリは移動しないため、画像をずらして重ねると点ではなくそのずれの分だけ直線状に写る。こうした線分状の像を検出する線分解析技術を用いて、小惑星と同時にデブリ観測が可能となる。 この技術が初めて試された2002年には20等級を下回る小惑星が発見され、口径35cmの望遠鏡で発見された当時最も暗い小惑星とされている。のちにこのアルゴリズムはアストロアーツ社と共同で開発されたソフトウェア「ステラハンター・プロフェッショナル」に搭載され、入笠山光学観測所での観測でも用いられている。
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