ストリーミング再生回数の不正問題
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/28 17:44 UTC 版)
「ビルボード」の記事における「ストリーミング再生回数の不正問題」の解説
自分の好きなアーティストを一位にするために、ファンによるストリーミング再生回数のフェイクプレイや音楽総攻と呼ばれる不正工作が問題となっており、2018年10月に米メディアのバズフィードは、これらのキャンペーンが高度化すればするほど、ビルボードチャートの信頼性を損なう恐れがあると警告した。当初は米国国内での現象だったが、その後SNSを利用して海外にもその手法が輸出されていることに懸念を表明している。ペンシルベニア大学のピーター・フェーダー教授もファンによる再生回数の水増し工作が続けば、「ビルボードチャートは破綻に追い込まれるだろう」と警告している。記事ではチャート不正の例として、韓国の音楽グループBTS(防弾少年団)のファンである「BTSアーミー」による戦略を挙げている。韓国ではファンによる音楽ランキングのチャート不正が相次いでおり、同国の国家行政機関である文化体育観光部が調査に乗り出すこととなった。 2018年11月、韓国アイドルグループEXOの元メンバーで、中国系歌手クリスの中国在住のファンによるiTunesチャートの不正疑惑を海外メディアから指摘され、彼のアルバム「Antares」はiTunesチャート分のみ適用を除外された。 2020年5月、ラッパーの6ix9ine(シックスナイン)が、アリアナ・グランデとジャスティン・ビーバーのコラボ曲「スタック・ウィズ・ユー(英語版)」は金銭で1位を買ったものであると主張し論争になった。同日に6ix9ineもシングル「グーバ(英語版)」を発売し3位を記録していたが、「彼らはチャートの締日に6枚のクレジットカードで3万曲を購入した」「自分の曲のストリーミングが少なくカウントされている」などと不正を訴えた。これに対し、ジャスティンは「グローバルでなく、国内のストリーミングのみカウントすべきだ」と反論し、アリアナも「私たちのファンがこの曲を購入しているし、1枚のクレジットカードで4曲までカウントされる(ビルボードの)ルールになっているわ」などと追随した。ビルボードも「6枚のクレジットカードという主張は間違っており、彼が言及したカウントは我々が提供したものではない」との声明を直ちに発表した。 2020年8月、BTSファンによるツイッターのアカウントが、デジタルシングル「Dynamite」の音源消費や募金などのマニュアルの投稿をリリース前に共有していた。このような動きは他のK-POPアイドルのファンの間でも見受けられ、専門家らは「他の歌手にも被害を与える操作行為だ」とし、「今後K-POPのイメージに打撃を与え、ビルボードチャートの公信力にまで影響を与えることができる」と懸念を示している。評論家のイ・デファは「(韓国の大手配信サービスの)メロンチャートが買い占めと便法、広報問題で信頼性が墜落したように、ビルボードチャートも同じ道を進みかねない」と指摘した。(ちなみに、現在メロンはチャートの集計方法を変更している。)評論家のキム・ユンハは「(韓国の国威宣揚という名分に酔って)暗黙的に助長した歌謡芸能事務所、音源プラットフォーム、韓国メディアも責任から自由でない」と指摘した。
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