ジャンルと構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 23:48 UTC 版)
「サンドマン (ヴァーティゴ)」の記事における「ジャンルと構成」の解説
本シリーズは数号にわたる長編ストーリーや一号完結の短編からなる。それらの題材は多様だが、単発のエピソードの羅列ではなく全体として一つの物語となっている。一般的な月刊コミックブックでは、作中の時間の流れはあいまいで、物語は基本的にいつまでも続く。しかし本作では現実と並行して年月が経過していることが全編を通して明示されており、不可逆な事象の積み重ねによって物語の結末を導く意図があるとされる。構成は緻密で、一つ一つのコマに至るまではっきりした意図のもとに配置されてストーリーを展開している。『トランスメトロポリタン(英語版)』や『Y:THE LAST MAN(英語版)』など、後にヴァーティゴから刊行された作品の多くは本作にならって、最初のストーリーが結末に向けた伏線になっているという周到な構成を採用した。 本作はダーク・ファンタジー(ホラー)のジャンルに分類されるが、背景はどちらかというと現代的である。批評家マーク・バクストンは本作を「名手の手による物語で、大人が読むダーク・ファンタジーの潮流を作った」と評し、それ以前のファンタジー・ジャンルでは小説やコミックを含めて同種の作品はなかったと述べた。本作はまた業界の制約にとらわれず、アーバン・ファンタジー(英語版)、神話の再解釈、史劇、スーパーヒーローのような多様なジャンルを縦横に利用している。 初期のエピソードでは、『サンドマン』の神話体系はDCユニバースの一部であり、数多くのDCキャラクターが直接間接に登場していた。しかしシリーズが進むにつれ、他誌とのストーリー上の関連性は弱められていった。その理由の一つは創作上の自由を確保するためである。シリーズの連載中、ほかのタイトルのストーリー展開に足並みを合わせるよう求められたゲイマンは、編集者カレン・バーガーと激しく衝突することがあった。コミック原作者のグラント・モリソン(英語版)は本作を評して、「スーパーヒーロー・コミックという当初の立脚点を逸脱して […] ファンタジーやホラーと文学の交差する地点に、新しいジャンルを確立することになった」と述べている。 作者ゲイマンは、シリーズの長編ストーリーラインに「男性的」なものと「女性的」なものを交互に配置したと述べている。男性主人公ドリームが困難な状況に挑む「プレリュード&ノクターン」や「シーズン・オブ・ミスツ」は男性的なストーリーであり、人間女性のキャラクターを中心に置いて人間関係やアイデンティティのテーマを扱った「ドールズハウス」や「ゲーム・オブ・ユー」は女性的なストーリーだとされた。
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