ジハードのイメージ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 22:18 UTC 版)
日本や多くのキリスト教圏の欧米の先進国においては、「ジハード」の語には異教徒に武力によって改宗を迫る行為(いわゆる「コーランか剣か」、「右手にコーラン、左手に剣」)のイメージが付きまとう。これは「聖戦」という訳語からの影響も大きい。しかし、少なくとも正確には「コーランか貢ぎ物か剣か」であり、強制改宗を含意する「コーランか剣か」は反イスラーム主義によるプロパガンダの性格が強く、誤解をまねく表現である。『クルアーン』では改宗の強制は否定されており、また、上述したように「ジハード」には「聖戦」以外の意味もある。 反イスラーム主義者は、しばしばムスリムに対し、ムスリムはタリバーンのアフガニスタンにおけるバーミヤーン大仏爆破にみられるように、攻撃してもいない仏教徒の信仰対象を勝手に破壊することをジハードとして正当化していながら、自分たちのモスクなどが攻撃を受けた場合はただちに武力闘争を開始し、その闘争を他宗教からの弾圧に対する抵抗、すなわちジハードとして規定する傾向にあると批判する。これは、「ジハード」の語を二重基準で用いることに対する批判である。ただし、一方では、こうした意見はムスリム全体とムスリムのなかの一勢力とを混同した結果であるとの見方もある。 しかしながら、2001年のウサマ・ビンラーディンによるアメリカ同時多発テロや、2003年のイラク戦争におけるサッダーム・フセインによる「ジハード宣言」は、改めて「イスラームは好戦的」「ムスリムは過激で暴力的」というネガティブイメージを、日本を含む国際社会に流布させる原因となっている。 トヨタ自動車のピックアップトラックが、過激派組織ISILに利用されている現状に、アメリカ合衆国の独立系保守報道機関「ザ・ブレイズ」が、パロディ広告の謳い文句(バクロニム)として「Toyota ISIS: We’re good for jihad !(トヨタ・アイシス:ジハードに相応しい車だ!)」とブラックジョークにして、Twitterに投稿された。 また、自らの宗教的思想と相反するものに対して殺人やテロさえも正当化する言葉であることからキリスト教における聖絶やオウム真理教のポア、連合赤軍における総括などと同一視するものもいる。
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