ジアコーサ式前輪駆動と「プリムラ」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/08/12 18:19 UTC 版)
「フィアット・128」の記事における「ジアコーサ式前輪駆動と「プリムラ」」の解説
ジアコーサ方式の横置きエンジン前輪駆動は、エンジンとギアボックスの配置は以前のフロントエンジン・リアドライブ車同様に直列につなぎ、90度回転させ横置きにしたものである。そしてギアボックスの駆動力出口(アウトプット)を入力(クラッチ)側とし、差動装置(ディファレンシャル・ギア)のみを下方に突出させた。 ギアボックス配置が車体の一方に偏っていることから、差動装置も車体中心からオフセットした位置に置かれてしまうことになり、そこから左右輪へのドライブシャフトは左右で不等長となった。このためスロットルのオン・オフで舵が片方にとられるトルクステアは避けられなかったが、等速ジョイントの精度向上と、スクラブ径やサスペンションジオメトリーのセッティングによって、問題を実用水準まで克服した。 この配置でネックとなる横幅方向のスペースの制約は、ギアボックスを小型化(入出力を内部で反転させ、シャフト方向に短縮)し、エンジン補機類の取り回しも改良することでクリアした。またミニはラジエーターも横置き配置とし、エンジン駆動ファンのみで送風して冷却していたが、ジアコーサは縦置きエンジン車同様、前面で走行風に当たるようにラジエーターを配置し、サーモスタット作動の電動ファンを適宜駆動して冷却促進する手法を採った。これはスペース節減策とオーバーヒート回避策として極めて効果的であった。 ジアコーサ方式の前輪駆動はミニのイシゴニス式と異なり、エンジン構造とギアボックス潤滑の特殊化を要さず、トータルコストを抑えることができた。 この手法を採用した新しい小型車を、フィアット社は開発コード123E4として計画したが、前代未聞の新設計をいきなり主力のフィアットブランドでスタートさせるのは危険が多いと判断されたことから、まずは系列の中堅ブランドである「アウトビアンキ」車として開発がなされた。 アウトビアンキブランドでの新しい前輪駆動車は「アウトビアンキ・プリムラ」として1964年に発表された。エンジンはティーポ103の上級版「1200グランルーチェ」のOHV 1,221 ccを横置きに積んだ。プリムラは技術的に一定の成功を収めた。
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