シミュレーター試験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 06:45 UTC 版)
「ユナイテッド航空232便不時着事故」の記事における「シミュレーター試験」の解説
NTSBは、本事故の過程を再現するシミュレーター試験を実施した。試験の目的は、油圧が働かない航空機を操縦して着陸させられるか、そしてそのような訓練がDC-10型機のパイロットに有用かを確認することだった。 DC-10型機のシミュレーターには、フライトデータレコーダーの記録をもとに事故機の空気力学的特性が設定された。そして、第2エンジンの破損と3系統すべての油圧喪失が再現された。試験には、DC-10型機の操縦資格を持つ路線機長、訓練審査官、そしてメーカーのテストパイロットが参加した。参加者は事故機と同じ飛行を行うよう指示された。操縦手段は、左右エンジンの操作のみだった。 推力を左右非対称にすると、ロール姿勢が変化して飛行方位が変わった。推力を増減させると、限定的にピッチ姿勢が変化した。しかし、機体は重心まわりにピッチ軸で振動する傾向があり、どのような精度でも制御困難だった。おもにピッチ姿勢によって飛行速度が決まってしまうため、速度も直接制御できなかった。したがって、指定された場所に特定の速度で着陸できるかどうかは、多分に運任せだった。シミュレーターを用いて本事故のような状況を訓練することは、事実上不可能だという結論に至った。ただし、シミュレーター試験で得られた知見はマクドネル・ダグラス社によってまとめられ、DC-10型機の運航者に提供された。
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