サンスクリット写本
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/06 01:17 UTC 版)
現存する最古のサンスクリット本(梵本)は東京国立博物館所蔵(法隆寺献納宝物)の貝葉本(東京国立博物館によれば後グプタ時代・7~8世紀の写本)であり、これを法隆寺本(もしくは法隆寺貝葉心経)と称する。(右図)漢訳よりも古い時代の写本は発見されていない。オーストリアのインド学者、ゲオルク・ビューラー(1837-1898) は、「伝承では577年に没したヤシという僧侶の所持した写本で609年請来とされる。またインド人の書写による6世紀初半以前のものである」と鑑定していた。古いもののため損傷による不明箇所が多く、江戸時代の浄厳以来、学界でも多数の判読案が提出されている。この他、日本には東寺所蔵の澄仁本などの複数の梵本があり、敦煌文書の中にも梵本般若心経が存在している。またチベットやネパール等に伝わる写本もあるが、それらはかなり後世のものである。 なお、1992年アメリカのジャン・ナティエ(Jan Nattier、当時インディアナ大学准教授)により、鳩摩羅什訳『摩訶般若波羅蜜経』などに基づき、玄奘が『般若心経』をまとめ、それを更にサンスクリット訳したという偽経説が提起されているが、これには原田和宗や石井公成による詳細な反論がなされている。
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