コーポレートガバナンスと監査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 14:21 UTC 版)
「監査の歴史」の記事における「コーポレートガバナンスと監査」の解説
2001年にアメリカでエンロン・ワールドコム事件が発生すると、エンロンの監査を担当していた巨大会計事務所アーサー・アンダーセンの信用は失われ、解散に追い込まれた。エンロンを筆頭にワールドコムなど大手企業の会計不正や破綻が相次ぐと、アメリカでは上場企業会計改革および投資家保護法(SOX法)が2002年に成立した。SOX法は会計の厳格化を目的とし、監査法人のコンサルティング業務規制や、財務処理のプロセスの開示と監査が盛り込まれた。同様の法律が各国でも定められ、日本では金融商品取引法(2006年)により内部統制報告制度が導入された。 2005年にカネボウが長年にわたって粉飾決算が行われていたことが明らかになると、監査を担当していた中央青山監査法人は業務停止命令を受けて解散に追い込まれた。2006年のライブドア事件などもあり、現状の財務諸表監査制度と財務諸表監査に対する社会の期待の乖離(いわゆる「期待ギャップ」)が注目されるようになった。2011年のオリンパス事件が起こると、新たに不正リスク対応基準が策定された。企業の不正会計に対応するために監査事務所間の引き継ぎの手続きなどがより厳密化された。2015年には東芝が工事進行基準の不適切な適用などの手口を用いて利益を1500億円ほど水増ししていたことが発覚した。この結果、東芝の会計監査人であった新日本有限責任監査法人に対して、21億円の課徴金と約3ヶ月の新規契約の締結の禁止という、従来の処分と比較して著しく重い処分がくだされた。 他方、監査法人の指摘によって、会計不正が発覚する事例も増加している。2003年には、都市銀行の一つりそな銀行や大手地方銀行である足利銀行が、いずれも繰延税金資産の過大計上を監査法人に指摘され、債務超過状態に陥った。りそな銀行は破綻前に公的資金注入を受け、足利銀行は法的整理をした。監査法人の判断によって有力銀行が破綻することもありうることが明らかになり、社会的な注目を集めた。2016年3月期のテクノメディカ社の会計不正は、監査法人トーマツの指摘を端緒として第三者委員会による調査を受けることとなった。
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