コダクローム
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/15 22:51 UTC 版)
1936年より発売されていた世界初のカラー写真フィルムであり、日本で最後まで販売されていた外式リバーサルフィルム。重厚な発色、高解像度、耐変色性などに優れるのが特徴で、色層ごとに染色する形になるため、撮影済フィルムを裏面から見ると、感光部が肉を盛ったような形状になる。当初は増感現像が出来なかったが、後に第一現像の時間を変更することで+2までの増感現像ができるようになった。 かつてはISO25のもの(KM,PKM)、タングステンタイプ(タイプA)のもの(KPA)、ISO200のもの(KL、PKL)があったがいずれも製造中止になっている。また過去に存在した120, 110, 126といったラージフォーマットあるいはカートリッジ式のコダクロームもすべて製造中止となった。135判用のISO64のもの(KR、PKR)のみが販売されていたが、2009年6月22日に製造打ち切りが発表され、すべてのラインナップが製造中止となった。以下は最後のラインナップである。 コダクローム64(KR) - 販売終了 ISO64の標準的なフィルム。RMS粒状度は10。内式フィルムとは違う渋みと濃厚感のある色調を手軽に楽しめる。 コダクローム64プロ(PKR) - 販売終了 KRに比べ、ロットによる色表現のばらつきが抑えられている。その代償として保存時の温度管理が必要(13度以下)。 アマチュア向けカメラ雑誌ではPKRは人物撮影に向かないなどのレビューが掲載されていたのと対照的に、PKRはグラビア撮影では最も支持を得ていた。 現像工程はK-14処理で、日本国内では当初は東洋現像所(1986年より社名変更でイマジカ)のみ、のちにローヤルカラー、堀内カラーが加わったがこの三社のみでしか処理できなかった。現像を実際に行っている堀内カラー杉並事業所に朝一番で持ち込んでも仕上がりは夕方であり、E-6処理の2時間と比較してかなりの長時間を要した。地方では納期に一週間近くを要するところもあった。最後まで現像を行っていた堀内カラーは2007年12月でサービスを終了、その後コダックがアメリカのカンザス州にあるドウェインズ・フォト社への取次ぎ手配サービスを行っていたがこちらも国内販売分が使用期限切れとなる2008年9月で終了している。取次の料金は3507円で納期は2-3週間であった。最終的にK-14処理のできるラボは世界でただ一箇所、ドウェインズ・フォト社のみとなったが、これも2010年12月30日到着分をもって終了した。現在、東京都墨田区にあるレトロエンタープライズにおいて使用期限切れ撮影済みのコダクロームフィルムをカラーリバーサル画像としてではなく、白黒ネガ仕上げとしての現像に対応している。
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