クーペ車種の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/12 01:38 UTC 版)
自動車が新しい物としてもてはやされた時代にはクーペはスポーツカーを中心に高い人気を誇った。1950年代までの乗用車は剛性確保や製造しやすさの都合上2ドアが当たり前であったため、2ドアに疑問を持つ者は少なかった。1960年代のファミリーカーブームで4ドアも普及し始めるが、「豪華版」とも呼べる存在であった4ドアに比べると廉価でスポーティな車種も多いクーペは、若者や自動車好きを中心に持て囃された。しかし4ドアが大衆化し、当たり前になって製造原価(製造コスト)が下がるようになると、徐々に(2ドア・3ドアの)クーペの販売台数は翳りを見せ始めた。自動車がさほど真新しくなくなった2000年前後には自動車に趣味的な価値を見出す人は激減した上、人々に地球環境への配慮や相次ぐ不況への不安が芽生えていたため、徐々にコンパクトカーやミニバンのような経済性・実用性に優れた自動車に圧倒されるようになった。クーペは少ない販売台数で採算を取るために高価格帯に偏るようになり、2022年時点で概ねCセグメントクラス以下のクーペを新型車で導入するケースは1台も存在しない。 かつてクーペのみを作ることをアイデンティティとしていたスポーツカーメーカーも、ラインナップにクロスオーバーSUVなどを導入する例が増えており、例えば現在のポルシェのクーペの売上は2割に過ぎなくなった。このようにクーペはブランドのスポーツイメージ向上や自動車文化の多少の振興にはなっても、収益のメインにはならなくなり、クーペの開発自体を諦めるメーカーも珍しくなくなった。 こうした現状を踏まえ、メーカー側もトヨタ・86/スバル・BRZやBMW・Z4/トヨタ・スープラ、アウディ・R8/ランボルギーニ・ウラカンのように、共同開発やプラットフォームの共有によってコストを削減してクーペを存続する努力をしている。また、トヨタ・C-HRやBMW・X6、ルノー・アルカナ/ルノーサムスン・XM3、メルセデス・ベンツ・GLCクーペ、ポルシェ・カイエンクーペなどクロスオーバーSUVでありながらクーペのスタイリングを取り入れる例も増えてきており、形を変えて生き残りを探っている状態であるともいえる。
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