ギラ‐ナキツ【Guilá Naquitz】
ギラ・ナキツ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/03 10:04 UTC 版)
「オアハカ中央盆地にあるヤグルとミトラの先史時代の洞窟群」の記事における「ギラ・ナキツ」の解説
ギラ・ナキツは古期(紀元前8000年頃 - 前1800年頃)の中でもナキツ期(前8900年 - 前6700年)に属している。この浅い洞窟(岩陰遺跡)は、狩猟採集民によって季節的に利用されていたもので、採集された後に大量に放置されたドングリ、栽培されていたらしいヒョウタン、カボチャなどが見つかっている。ヒョウタンは容器として使われたらしく、移住生活の水の確保に関わっていた。ヒョウタンはアメリカ大陸で最初に栽培された植物であったことが有力視されており、とりわけギラ・ナキツで発見されているヒョウタンは、同地で発見されているウリ、マメなどとともに、加速器質量分析法で紀元前8000年頃という数値が出ているため、アメリカ大陸最古の栽培例とされている。 ギラ・ナキツからはトウモロコシの穂軸も発見されており、年代測定の結果、紀元前4200年頃のものとされている。トウモロコシの起源は未解明だが、テオシンテという小さなイネ科植物から派生したことが有力視されており、ギラ・ナキツからはテオシンテの花粉も見つかっている。ギラ・ナキツ出土の穂軸は、かつてトウモロコシの最古の栽培の可能性を示すものではないかとされたこともあったが、現在までのプラント・オパールや花粉などに基づく分析から、栽培の起源は紀元前7000年頃のメキシコのバルサス川(英語版)中流域にあるらしいと考えられるようになっている。しかし、トウモロコシの遺存体としては、ギラ・ナキツが最古であることに変わりはない。ほかに出土している遺存体としては、メスキテ、エノキの実、ウチワサボテン、グアヘ(マメ科)、ベニバナインゲン、インゲンマメ、コヨーテメロン(ウリ科)、ペポカボチャ、トウガラシ、リュウゼツランなどを挙げることが出来る。 ギラ・ナキツで暮らしていた人々は、打製石器や磨製石器を使い、一部の植物の栽培を始めても、狩猟採集を中心とする移住生活から定住農耕生活への急速な移行は見られなかった。これはメソアメリカ全体に共通する点であり、数千年にわたる漸進的な移行は、メソアメリカにおいて、いわゆる新石器革命がなかったことを示している。ギラ・ナキツの人々は、シカやウサギを狩り、リュウゼツランやサボテンの実などを採ったりして暮らしていた。
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