キリスト教と純潔教育
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/08 18:58 UTC 版)
詳細は「キリスト教」を参照 アメリカ合衆国では1980年代半ばから、性病やエイズ感染症の予防からコンドームの使用指導をしていた。しかし1990年代初めより、キリスト教右派の「絶対禁欲性教育(英語版)」が導入された。結婚するまで絶対にセックスをしてはならず、妊娠の医学的仕組み、避妊の仕方も教えてはならないというもの。ブッシュ政権は莫大な資金援助をしたが、避妊を教えた場合は助成金を打ち切った。その結果、一部の州で未成年者の性病罹患と妊娠が急増した。 純潔教育を扱ったドキュメンタリー映画に『シェルビーの性教育〜避妊を学校でおしえて!(英語版)』がある。ピュアボール(英語版)という、父親と10代の娘が「結婚するまで処女を守る」と誓うダンスイベントも存在する。 2004年、アメリカの『ニューズウィーク』誌は、アメリカ国民の79%、キリスト教徒では87%が、聖母マリアの処女懐胎を信じていると報じた。 アメリカでは「絶対禁欲性教育(Abstinence-Only Sex Education)」「包括的性教育(英語版)(comprehensive sex education)」他の複数のカリキュラムがある。この二つについてはどちらが良いかについて論争がある。特に、子どもの性的行動を取り扱っていくことを善しとするか害と見るかに関して、激しく意見が割れている。より具体的に言えば、コンドームや経口避妊薬などの産児制限、避妊具が婚外妊娠に与える影響力、若年での妊娠、性感染症の伝染などの扱うことの是非である。アメリカの性教育をめぐる論争の火種となっているものの1つとしては、保守系の人々が推奨する純潔教育や絶対禁欲性教育への支持が高まっていることを挙げることができる。性教育に対して、アメリカや英国も含めたより保守的な態度を示す国では、性感染症の蔓延や若年妊娠が高い率で生じている。 アメリカ心理学会の研究では、「包括的性教育」の有効性が示されているとした。包括的・総合的な性教育の有効性は、査読誌の記事の複数によって明白であるとする一方、「絶対禁欲性教育」は深刻な危険があるとの指摘がなされている。
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