キューバ国外への選手派遣
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/21 14:22 UTC 版)
「セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボル」の記事における「キューバ国外への選手派遣」の解説
1958年のキューバ革命以降、国内のスポーツ選手は国外のプロスポーツチームと契約することが原則として禁止されていた(日本の社会人野球への選手派遣や、国内リーグ引退後に研修という名目でオマール・リナレスがNPBの中日ドラゴンズと、ペドロ・ラソがメキシカンリーグのカンペチェ・パイレーツと契約した特例もある)。しかし、1991年のソ連崩壊で経済状態が悪化してからは、他国へ亡命をして、1961年から国交を断絶しているアメリカ合衆国のメジャーリーグベースボール(MLB)に挑戦する選手が増えている。 2000年代後半に代表チームの国際大会での成績が低迷してからは国外プロリーグでのプレーを認める動きが始まり、2013年6月12日にミチェル・エンリケスがメキシカンリーグのカンペチェ・パイレーツと期間限定で契約することが承認され、6月22日にはアルフレド・デスパイネが同じくパイレーツと期間限定で契約することが承認された。 2013年9月21日には、キューバの内閣に相当する閣僚評議会が、スポーツ選手の待遇や報酬などに関する対応を本格的に協議。スポーツ省によって「(国際大会での実績などから)優秀で国家への貢献度も高い」と認められたベテラン選手が国外でのプレーを希望した場合には、政府による管理の下で、外交上商取引を禁止していない国(日本やメキシコなど)のプロスポーツチームに限って選手の保有権を持つ機関(キューバ野球連盟など)からのリース扱いでプロ契約を結ぶことを認めることが同月28日に正式に発表された。なお、発表前にはスポーツ体育レクリエーション庁長官のフリオ・クリスチャン・ヒメネスが、日本の外務省を訪問。その際に、キューバ国内のプロ野球選手の獲得を希望するNPBの球団に対して、外務省経由で獲得希望選手リストの提出を求めたとされる。12月にはローランド・メリーニョがディヴィジオン・アンのセナート・テンプライアーズの監督に就任することが発表された。 2014年、前年に引き続きアルフレド・デスパイネがパイレーツと契約した他、3月26日にはノルベルト・ゴンサレスとホアン・ペドロソがイタリアンベースボールリーグのネットゥーノ 2・ベースボールクラブと契約したのを皮切りに、ヨーロッパのプロ野球リーグとの契約が相次ぐ。4月19日にはNPBの読売ジャイアンツがフレデリク・セペダと契約。同時に、セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボルと友好関係を結んだことを発表した。5月13日には横浜DeNAベイスターズがユリエスキ・グリエル、7月15日に千葉ロッテマリーンズがメキシカンリーグから出場停止処分を受け帰国したデスパイネとの契約をそれぞれ発表したなどNPB球団との契約も相次いだ。7月24日にはユニエスキ・グリエルがカナディアン・アメリカン・リーグのケベック・キャピタルズと契約。こうして2014年に国外のプロ球団との契約が相次いだことから、2014-2015シーズンは開催時期を9月21日からに早め、国外プロリーグの開幕に近い時期にシーズンが終わる日程となった。 キューバ国籍の野球選手と国外のプロ球団による契約は、「選手の保有権を持つキューバ野球連盟が、セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボルのオフシーズン(4月末 - 11月末)に限って選手を国外のチームに貸し出す」という関係を前提に置いている。そのため選手には、国外リーグのシーズン終了(契約期間の満了)後にセリエ・ナシオナル・デ・ベイスボルでシーズン終了までプレーを続けることや、契約金や年俸から一定の割合に相当する金銭を「国内のスポーツ選手の育成に還元する」という名目でキューバスポーツ省やキューバ野球連盟などへ納付することを求めている。メキシカンリーグやNPBの球団へ移籍した選手は、契約金の2割に相当する金額を納めているという。
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