ガンマ関数とパイ関数とは? わかりやすく解説

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ガンマ関数とパイ関数

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 08:10 UTC 版)

階乗」の記事における「ガンマ関数とパイ関数」の解説

詳細は「Γ関数」を参照 負の整数除けば階乗関数は非整数の値に対して定義することができるが、そのためには解析学道具立てが必要である。そのように階乗の値を「補間」して得られるものの一つガンマ函数 Γ(z) である(ただし引数が 1 だけずれる)。これは負の整数を除く任意の複素数 z に対して定義される。z の実部が正である場合には Γ ( z ) = ∫ 0 ∞ t z1 et d t {\displaystyle \Gamma (z)=\int _{0}^{\infty }t^{z-1}e^{-t}\,dt} で与えられるガンマ函数階乗との関係は、任意の自然数 n に対して n ! = Γ ( n + 1 ) {\displaystyle n!=\Gamma (n+1)} が成り立つことである。オイラーのもともとの定義式は Γ ( z ) = lim n → ∞ n z n !k = 0 n ( z + k ) {\displaystyle \Gamma (z)=\lim _{n\to \infty }{\frac {n^{z}n!}{\displaystyle \prod _{k=0}^{n}(z+k)}}} である。ガウス導入した別表記として、負でない実数 z に対すパイ函数 Π(z) は Π ( z ) = ∫ 0 ∞ t z e − t d t {\displaystyle \Pi (z)=\int _{0}^{\infty }t^{z}e^{-t}\,dt} を満たすガンマ函数との関係は Π ( z ) = Γ ( z + 1 ) {\displaystyle \Pi (z)=\Gamma (z+1)} である。非負整数 n に対し Π ( n ) = n ! {\displaystyle \Pi (n)=n!} が成り立つことを思えば、こちらのほうが階乗補完し函数としては適していると言えるかもしれない。さてパイ函数階乗満たすのと同じ漸化式 Π ( z ) = z Π ( z − 1 ) {\displaystyle \Pi (z)=z\Pi (z-1)} を、しかし定義される限り任意の複素数 z に対して満たす事実としてはこれはもう漸化式ではなくて函数等式見るべきのであるが。この函数等式ガンマ函数に関するものに書き換えれば Γ ( n + 1 ) = n Γ ( n ) {\displaystyle \Gamma (n+1)=n\Gamma (n)} となる。階乗延長したものがパイ函数なのだから、定義可能な任意の複素数 z に対して z ! := Π ( z ) {\displaystyle z!:=\Pi (z)} と定めることは可能である。これらの補間函数用いて半整数における階乗の値を定めるならば、例えば Γ ( 1 2 ) = ( − 1 2 ) ! = Π ( − 1 2 ) = π {\displaystyle \Gamma \left({\frac {1}{2}}\right)=\left(-{\frac {1}{2}}\right)!=\Pi \left(-{\frac {1}{2}}\right)={\sqrt {\pi }}} が成り立ち、さらに自然数 n ∈ N に対して Γ ( 1 2 + n ) = ( − 1 2 + n ) ! = Π ( − 1 2 + n ) = π ∏ k = 1 n 2 k − 1 2 = ( 2 n ) ! 4 n n ! π = ( 2 n − 1 ) ! 2 2 n − 1 ( n − 1 ) ! π {\displaystyle \Gamma \left({\frac {1}{2}}+n\right)=\left(-{\frac {1}{2}}+n\right)!=\Pi \left(-{\frac {1}{2}}+n\right)={\sqrt {\pi }}\prod _{k=1}^{n}{2k-1 \over 2}={(2n)! \over 4^{n}n!}{\sqrt {\pi }}={(2n-1)! \over 2^{2n-1}(n-1)!}{\sqrt {\pi }}} が得られる例えば Γ ( 4.5 ) = 3.5 ! = Π ( 3.5 ) = 1 23 25 27 2 π = 8 ! 4 4 4 ! π = 7 ! 2 7 3 ! π = 105 16 π ≈ 11.63. {\displaystyle \Gamma \left(4.5\right)=3.5!=\Pi \left(3.5\right)={1 \over 2}\cdot {3 \over 2}\cdot {5 \over 2}\cdot {7 \over 2}{\sqrt {\pi }}={8! \over 4^{4}4!}{\sqrt {\pi }}={7! \over 2^{7}3!}{\sqrt {\pi }}={105 \over 16}{\sqrt {\pi }}\approx 11.63.} 同様に n ∈ N に対して Γ ( 1 2 − n ) = ( − 1 2 − n ) ! = Π ( − 1 2 − n ) = π ∏ k = 1 n 2 1 − 2 k = ( − 4 ) n n ! ( 2 n ) ! π {\displaystyle \Gamma \left({\frac {1}{2}}-n\right)=\left(-{\frac {1}{2}}-n\right)!=\Pi \left(-{\frac {1}{2}}-n\right)={\sqrt {\pi }}\prod _{k=1}^{n}{2 \over 1-2k}={(-4)^{n}n! \over (2n)!}{\sqrt {\pi }}} が成り立ち例えば Γ ( − 2.5 ) = ( − 3.5 ) ! = Π ( − 3.5 ) = 2 − 1 ⋅ 2 − 3 ⋅ 2 − 5 π = ( − 4 ) 3 3 ! 6 ! π = − 8 15 π ≈ − 0.9453. {\displaystyle \Gamma \left(-2.5\right)=(-3.5)!=\Pi \left(-3.5\right)={2 \over -1}\cdot {2 \over -3}\cdot {2 \over -5}{\sqrt {\pi }}={(-4)^{3}3! \over 6!}{\sqrt {\pi }}=-{8 \over 15}{\sqrt {\pi }}\approx -0.9453.} パイ函数が殆ど全ての複素数に対して定義される階乗延長として唯一のものでないことはもちろんである。それは定義域において解析的としても同じことである。しかし、ふつうはこれが階乗複素函数への最も自然な延長であるものと考える。例えば、ボーア・モレルップの定理ガンマ函数が Γ(1) = 1 かつ函数等式 Γ(n + 1) = nΓ(n) を満足するガウス平面全域有理型かつ実軸正の部分対数凸(英語版)となるような唯一の函数であることを述べる。同様の主張パイ函数に関しても、函数等式 Π(n) = nΠ(n − 1) に関して述べられる。 そうは言うものの、解析的函数論の意味で恐らくより簡明な階乗の値を補間する複素函数存在する例えばアダマールの「ガンマ函数ガンマ函数とは異なり整函数になる。 オイラーはまた非整数階乗対す近似無限乗積 n ! = Π ( n ) = ∏ k = 1 ∞ ( k + 1 k ) n k n + k = [ ( 2 1 ) n 1 n + 1 ] [ ( 3 2 ) n 2 n + 2 ] [ ( 4 3 ) n 3 n + 3 ] ⋯ {\displaystyle {\begin{aligned}n!=\Pi (n)&=\prod _{k=1}^{\infty }\left({\frac {k+1}{k}}\right)^{n}\!\!{\frac {k}{n+k}}\\&=\left[\left({\frac {2}{1}}\right)^{n}{\frac {1}{n+1}}\right]\left[\left({\frac {3}{2}}\right)^{n}{\frac {2}{n+2}}\right]\left[\left({\frac {4}{3}}\right)^{n}{\frac {3}{n+3}}\right]\cdots \end{aligned}}} についても考察している。これは上記ガンマ函数に関する公式と同じものと見做すことができる。しかしこの公式は収束遅く実用的な意味でパイ函数ガンマ函数の値を計算することに利用することはできない

※この「ガンマ関数とパイ関数」の解説は、「階乗」の解説の一部です。
「ガンマ関数とパイ関数」を含む「階乗」の記事については、「階乗」の概要を参照ください。

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