ガンマ線分光計実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/01/10 09:08 UTC 版)
HEAO"C-1"機器は、掃天実験のための機器で、硬X線と低エネルギーガンマ線の帯域で運用される。ガンマ線分光計は、特に恒星や銀河、星間物質中の陽電子の対消滅や星間物質と宇宙線の相互作用、宇宙線原子核合成における放射性生成物、低エネルギー宇宙線による核反応等で生成される511keVのガンマ線を検出するために設計された。さらに、既知の硬X線源に対するスペクトルや時間挙動についても詳細な調査が行われた。 実験機材には、背景輻射を抑えるために平均6.6cmの厚いヨウ化セシウムのシンチレーションシールドに収められた、合計約100cm3の大きさの低温p型高純度ゲルマニウムガンマ線検出器がある。実験では、0.045から10MeVのエネルギー区間にあるガンマ線のエネルギーが測定される。ゲルマニウム検出器の当初のエネルギー解像度は1.33MeVで2.5keV以上で、線感度は、エネルギーに依存して1.E-4から1.E-5 /sq cm-sある。主要な実験パラメータは、(1)幾何学的因子:11.1 sq cm-sr、(2)実効面積:100keVで~75 cm2、(3)視野:45keVで半値幅~30°、(4)時間解像度:0.1ミリ秒以下(ゲルマニウム検出器)、10秒(ヨウ化セシウム検出器)である。ガンマ線分光計は、低温化装置が停止した1980年6月1日まで運用した。ゲルマニウム検出器のエネルギー解像度は、放射による損傷により、おおよそエネルギーと時間に比例して減少する。主なデータは、NASA HESARCとジェット推進研究所から得られる。機器、軌道、データや探査機の維持監理の情報等が1600bpiのテープに収められているが、より近代的なメディアに保存されたものもある。この実験は、アラン・ヤコブソンの指揮の下で、ジェット推進研究所により提案、開発、運営された。
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